出版社内容情報
今やあらゆる場所が「戦場」となり、戦いは曖昧な目的のために長期化していく。
それに対して国家が持っている「軍隊」というシステムは対応できない。
だからこそ軍事力の役割を改めなくてはならない。
元国連軍司令官による、様々な経験に裏打ちされた「新・戦争論」。
内容説明
湾岸戦争、ボスニア紛争の司令官が自らの経験を通じて、これからの「戦争」「戦略」そして「軍事力」についてつきつめた名著!待望の全訳!
目次
第1部 “国家間戦争”(発端―ナポレオンからクラゼヴィッツへ;発展―鉄と蒸気と大規模化;頂点―両世界大戦)
第2部 冷戦という対立(アンチテーゼ―ゲリラから無政府主義者、毛沢東まで;“対立”と“紛争”―軍事力行使の新たな目的;将来性―新しい道を探る)
第3部 人間戦争(傾向―現代の軍事作戦;方向―軍事力行使の目的を設定する;ボスニア―“人々の間”で軍事力を行使する)
著者等紹介
スミス,ルパート[スミス,ルパート] [Smith,Rupert]
元イギリス陸軍大将。欧州連合軍副最高司令官。湾岸戦争ではイギリス陸軍機甲師団長、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争では国連軍司令官として作戦に参加。2002年に退役
山口昇[ヤマグチノボル]
元陸将。在米国大使館防衛駐在官、陸上自衛隊研究本部長等を経て2008年退官、2009年から防衛大学校教授。2011年3月から9月まで内閣官房参与(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HMax
6
我々は戦争の中に生きている。国家間戦争から人間戦争(じんかんせんそう)へ、とっくの昔にパラダイムシフトが起きているのに、それに気づいていないだけ。 共謀罪がどうして必要なのかも、この観点から考えるとよくわかる。特にマスコミの皆さまには、敵味方双方にとって非常に重要な役割を担っているにもかかわらず、「明日にはネコのトイレになるような新聞を売る」ことになっていないか、よく考えてほしい。2017/06/25
GASHOW
4
英陸軍大将の戦争論。核兵器の発明語のテロとの戦いを人間戦争(じんかんせんそう)の解説がされている。これは、組織犯罪処罰法を検討した人と報道を担当するマスコミの人には読んでおいてほしい内容。過去の戦争の定義が、変わっているだけで、現在が戦争だと認識するほうが正しいことがわかる。タイムリーな本なので、今がまさに読み時です。2017/06/19
蟹
2
元英陸軍大将、ボスニア紛争時のUNPROFOR司令官である筆者による、「国家間戦争」から「人間(じんかん)戦争」へのパラダイム・シフトを論じた本。原著はイラク戦争直後に出ているだけあって、当時の問題意識が如実に出ている。また、「スレブレニッツァの虐殺」当時の司令官の苦悩も垣間見える。メディアの役割の協調やワインバーガー・ドクトリンに対する批判も的確だ。ただ、国家間戦争から人間戦争へという流れが本当に正しかったのか?奇しくもこの邦訳が出た2010年代には状況はいささか変化しているように思われる。2019/07/21
フェイ
1
著者の国家間戦争と人間戦争の概念は今の自分では説明できない程度の理解しかないため、とりあえずそれ以外の部分の感想。 近代から現代までの戦争における戦術・戦略の革新やゲリラ・テロリストの戦争方法について丁寧に解説されている。また、ボスニア紛争において国連軍司令官を務めた際、各国寄せ集め&規則がんがらじめの連合軍をどう指揮したかにも触れている。とりあえずその部分だけでも読む価値はあると思う。 ※上記の部分が琴線に触れれば読む価値はある。だが孫子や戦争論を読んでいること前提であることに注意するべし。2014/08/03
ワッキー提督
1
従来の戦争と近年の戦争の相違点について、現場で指揮をとった退役将官が書いた1冊。近年の(といっても90年代後半以降)国際政治学においても類似の指摘がなされているので、それらとの相違点を確認してみたくなった。2014/06/01