目次
第1章 イスラム文明の基層(ムハンマドの事績;アラブの征服時代)
第2章 イスラムの古典期(ウマイヤ朝の都市設計と「砂漠の宮殿」;最初のイスラム聖廟)
第3章 ペルシャ(イラン建築の構成;ティムール朝時代の黄金時代)
第4章 地中海(カイロの市壁と門;シリアのアイユーブ朝の建築;世俗建築の発展)
第5章 トルコ(セルジューク朝建築の性格;オスマン建築の黄金時代;世俗建築と公共建築)
第6章 インド(デリーの最初のモスク;デリーの赤い城の都市設計)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kthyk
15
観光の経験が少ないので、ほとんど無知。「イスラムは反偶像崇拝を徹底させた文化、結果として絵画、彫刻、演劇、舞踊、音楽に対し文学と建築が優先される」。建築はメッカへ方向だけが意味を持つ(神像のない神殿が中心)。著者はスイス人、「アルハンブラ」を知りたかったが、この書はトルコがメイン。十字軍やシトー派の初期の修道院、クリュニーとの関係が面白い。自筆図面が一枚も発見されていない。構成や支配する原理の単純さ。口述筆記ないしは記号化された簡単なスケッチのみ。2021/07/13
凛
4
イスラム建築の初期はビザンツ帝国出身の建築家に頼っているし、象徴的なイワーンやムカルナスはペルシア文化無しでは完成されなかっただろう。アラブ世界のみでイスラム建築を語ることは不可能なのだ。本書に閉じ込められている1000年に渡るアラブ・ペルシャ・トルコ・インドのイスラム建築にまつわる歴史に触れると、人間の大きな生命力を感じた。「凄いなぁ」とただただ呆然としてしまった。17世紀に栄華を極めたらしいイスファハーンには是非一度行きたいと再考しました。この本がイスラム建築全体を見るのには一番いいかな?高いけどw2013/06/20