出版社内容情報
本とは手書き写本であったヨーロッパに印刷された本が生まれたことで、人々の暮らしや政治・宗教・経済・文学はどう変わったのか。
内容説明
印刷本の誕生は西欧世界をどう変えたか。書物を中心とする印刷物が政治・経済・宗教・科学・芸術に与えた影響をいきいきと描く。新資料から描く新しい文化史。
目次
第1部 はじまり(印刷時代以前の書物;印刷術の発明 ほか)
第2部 根づいてゆく印刷文化(書籍市場の形成;本の町ヴィッテンベルク ほか)
第3部 論争(論争文学;秩序を求めて ほか)
第4部 新世界(自然科学と探検;治療 ほか)
著者等紹介
ペティグリー,アンドルー[ペティグリー,アンドルー] [Pettegree,Andrew]
イギリスの歴史研究者、DPhil(オクスフォード大学)。セント・アンドルーズ大学近代史教授で、専門は宗教改革および16世紀史。『印刷という革命―ルネサンスの本と日常生活』は、すぐれたルネサンス研究の歴史書に贈られるフィリス・グッドハート・ゴーダン賞を受賞、またニューヨーク・タイムズの「2010年注目の100冊」にも選ばれた
桑木野幸司[クワキノコウジ]
大阪大学准教授、専門は西洋建築史・庭園史・美術史。工学修士(東京大学:建築史)、Dottore di ricerca(ピサ大学:美術史)。第八回(平成23年度)日本学術振興会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
1601年以前に出版された全書籍データをデジタルアーカイヴ化した Universal Short Title Catalogue のプロジェクトリーダーである著者は、宗教改革と独立戦争の中で手書き写本から印刷へ移る情報メディアの大規模な転換を、蔵書のような高価な書籍でなく、教科書やビラのような簡易印刷物によって描く。本書は、写本に手で書かれるラテン語から紙に印刷される俗語に転換する過程を、俗語でまたは文字がわからぬ者には図像を載せて大量印刷され民衆を煽動するビラやパンフレットの氾濫から見る。2019/06/13
megane
2
非常に面白かった、グーテンベルグが活版印刷を発明してからの、1500年前後を主に扱い、印刷術が当時のルネサンスの世の中にどれほどの影響を与えていったかを細かく検証する。地理的にはヨーロッパ全体を広くカバーし、年代的には15世紀という短い期間だが、本の著者や有名な本などだけにとどまらず、非常に細かい、印刷業者、出版者、取次や貿易商などの在庫目録などからここまで詳細に過去の事がわかるのかと驚愕。非常に密度が高く有意義でたのしい読書体験ができた。本や黎明期の印刷術などに興味がある人は読んで損なし。おすすめ。2018/11/27