エクス・リブリス<br> ここにいる

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  • サイズ B6判/ページ数 250p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560092705
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0097

出版社内容情報

孤独死事件を台湾の異才が小説化!
 本書は、2013年に起こった「大阪市母子餓死事件」が素材になっている。当時マンションの一室で28歳の母親と3歳の息子が餓死状態で発見された。母子の孤独死は、無縁社会を象徴する事件として台湾でも大きく報じられ、衝撃を受けた著者は、舞台を台湾に置き換えて、本書を書き上げた。
 主人公の美君は、6歳の娘と暮らす30代の平凡な女性。あるとき、夫から暴力を受け、家を出る。近所に引っ越し、夫からの連絡をひそかに待ちながら、夫や元彼、職場、結婚・出産時のことなど、過去を様々に思い返す。一方で、夫、元彼、娘、親、弟、同僚、友人の独白からは、まったく異なる美君の姿が浮かび上がってくる。すれ違う意識と?みあわない現実。些細なきっかけから美君は周囲との関係を断っていき、しだいに自らを追い込んでいく……。
 他者からどう見られるかを常に意識して行動し、自分が選ばれるべき人間だと自負する美君。ネットやSNSが浸透し、容易に他人と深く関われる社会のなかで、なぜ母子は孤独死するに至ったのか。誰にでも起こりうる震撼の事件の全貌を独白体によって鮮烈に描き出し、現代の日常が孕む闇を射抜く傑作長篇。
 小山田浩子氏推薦!

王聡威[オウ ソウイ]
著・文・その他

倉本 知明[クラモト トモアキ]
翻訳

内容説明

本書は、2013年に起こった「大阪市母子餓死事件」がモチーフになっている。当時マンションの一室で28歳の女性と3歳の息子が餓死状態で見つかり、電気とガスも止められていた。母子の孤独死は、無縁社会を象徴する事件として台湾でも大きく報じられ、衝撃を受けた著者は、舞台を台湾に置き換えて、本書を書き上げた。主人公の美君は、6歳の娘・小娟と暮らす30代の女性。あるとき、夫の阿任から暴力を受け、美君は家を出る。地下鉄で20分しか離れていない家に移り、夫からの連絡をひそかに待ちながら、夫のこと、元彼のこと、職場のこと、結婚・出産の時のことなど、過去をさまざまに思い返す。一方で、夫、元彼、同僚、親、弟、友人の独白からは、まったく異なる美君の姿が浮かび上がってくる。他者からどう見られるかを常に意識して行動し、自分が選ばれるべき人間だと自負する美君。Facebookのページを開設し、グループLINEにも参加してはいたが、つながっている人はほとんどいなかった。すれ違う意識と噛み合わない現実。美君は、しだいに自らを追い込んでいく…。

著者等紹介

王聡威[ワンツォンウェイ]
1972年、台湾・高雄生まれ。国立台湾大学哲学科卒、同大学芸術史研究科修士。デビュー以降、台湾文学賞、宗教文学賞、打狗文学賞など、数々の文学賞を受賞。2003~05年には、甘耀明、伊格言ら7人の若手作家たちと「8P」を結成、新たな創作活動を宣言する。08年刊行の長篇小説『濱線女兒―哈瑪星思戀起(浜線の女―ハマセン恋物語)』で巫永福文学賞を受賞。雑誌編集者としても活躍しており、09年、台湾を代表する文芸誌『聯合文学』の編集長に就任

倉本知明[クラモトトモアキ]
1982年、香川県生まれ。立命館大学大学院先端総合学術研究科修了、学術博士。台湾文藻外語大学助理教授。専門は比較文学。2010年から台湾・高雄在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

91
読んでいて静かに内部に沈んでいくような感覚に襲われた。本当は自分以外の人間の事を誰も愛していない。自我が強いために他者に助けを求められない。自分の思い通りにならない人には我慢できない。自分で動かずに他人が助けてくるのを待って何もしない。現状を打開せずに「仕方ない」と諦める癖。美君の思考はまさに自分にも当て嵌るからだ。それを外側から見透かされ、それでも恥じずにいる自分がいる事に気づく事も。しかし、母親の空回りさに気づきながらも誰も責めずに飢えて死んだ小ジュエンを想うと美君に憤りと遣り切れなさを覚えるのだ。2018/11/04

りつこ

43
大阪の母子餓死事件に着想を得たという作品。虚栄心が高く自意識過剰で意固地な性格の美君。自分なら当然得ることができると思っていた愛情を得ることが出来ず、仕事にも結婚にも満足できず、気づいたときには動くことも助けを求めることもできなくなっていた。誰かに助けてもらうことはできなかったのかと思うが、誰にも迷惑をかけたくない、みっともない姿は晒したくないという彼女の気持ちは痛いほど分かるのだ。ここにいるけどどこにもいないような身の置き場のなさ。娘の存在が彼女にはまるでリアルに感じられなかったことが痛い。2018/10/14

あじ

43
なぜ母子は助けを求めず、巣の中でその日を待ったのか─。美君(メイジュン)が裡を晒す一方で、夫や娘、同僚が彼女の外濠を物語る。“ここにいる”のに置いてくれない、独り善がりと思える美君不在の空気が膨張していく。あなたを刺したとどめはなんだったの?空気の抜けた人形になってしまったあなた…遼遠【台湾文学】購入本2018/09/23

ヘラジカ

39
ひたすら内向きに自分の経験を語るような日本文学とは正反対でありながら、同じように私小説を実現しているという意欲作。まるで一昔前の、力と熱がこもっていた頃の日本の小説を読んでいるようだ。尋常ではないが時間の経過とともに忘れ去られる事件に(しかも他国である日本の事件)文学性と病巣の本質を見いだせるのは、それだけで相当な才能であるに違いない。ひとつの出来事を結果として、それまでの過程を想像する。創造とは無から生み出すだけでなく、現実の不可視の領域を埋めていくことでもある、ということが分かる力作。2018/08/20

marumo

27
大阪市母子餓死事件がモチーフ。この母子に充分な収入があり支援する男性がいたということを本作を読むまで知らなかったので驚いた。主人公・美君の人目を気にするところ、意固地な性格、小娘のようなメンタリティに嫌悪感を抱きながら読む。けれど、あとがきの「わずかなアクションを起こせば助かる状況にありながら…」という部分を読んで、不意に実感をともなった理解が落ちてきた。助けてと縋って迷惑がられたらという恐怖。それくらいなら死ぬという極端さ。そういった感覚の種は、認めたくないけれど私の中にもあるのだった。2018/09/29

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