内容説明
平時・金融危機後の金融政策を理解するうえで必要な基礎理論と制度的枠組み、非伝統的政策と呼ばれる新たなアプローチについて整理し、その行きつく先を探る。
目次
第1章 金融政策の出発点―誰が・何を・どのように決めるのか
第2章 金融調節と短期金利の誘導―中央銀行は短期金利をどのように誘導するのか
第3章 金利の期間構造と金融政策―政策金利の誘導と長期金利はどう関係しているか
第4章 金融政策とリスク・プレミアム―金融危機前後で位置づけはどう変化したか
第5章 金融政策と為替レート―なぜ中央銀行にとって為替レートは「扱いにくい」か
第6章 中央銀行と内外当局の政策協調―協調がうまくいくのはどういう場合か
第7章 財政の持続可能性と金融政策―政府債務累増と物価安定は両立するか
第8章 エピローグ―金融政策はどこに向かっているのか
著者等紹介
翁邦雄[オキナクニオ]
1974年東京大学経済学部卒業。同年日本銀行入行。シカゴ大学Ph.D.(Economics)取得。日本銀行金融研究所長等を経て、2009年4月より京都大学公共政策大学院教授。専門は金融論、金融政策論、中央銀行論、マクロ経済学、国際金融論。著書に『期待と投機の経済分析―「バブル」現象と為替レート』(東洋経済新報社、1985年、第28回日経・経済図書文化賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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koji
2
現代の金融政策の教科書として良書です。伝統的な金融政策手段である①公開市場操作、②準備率操作、③公定歩合操作のうち、残っているのは①のみ。それに対して、現代の金融政策手段は、②、③が準備預金制度、スタンディングファシリティに変わっています。本書の良書たる所以は、平時と金融危機の枠組み両者に目配りし、中央銀行が金融危機で直面した、リスクプレミアムへの働きかけ、為替レートへの影響、政策協調、政府債務問題など課題の振り返りを行っていることです。本書にはありませんが、著者の黒田異次元緩和批判は一読の価値ありです。2013/12/13
aun
1
大変勉強になった。10年近く前の本ということもあり、書かれている内容は、もはや「フロンティア」ではないかもしれない。しかし、学部マクロ経済学では学べない非伝統的金融政策について概観できてよかった。おすすめです。2020/06/12
かみゅ
1
筆者は元日銀、現京大教授。近年の金融政策を理論的に説明した著書で、これ以上に分かりやすい本はない。リーマン以後の新たな金融秩序や、近年の中央銀行のパラダイム変遷に焦点が絞られており、即戦力にもなる。初級~中級マクロ経済についての基本的知識は必須2017/01/30
disktnk
0
各国の中央銀行の意思決定プロセスを紹介し,現代で用いられている金融操作,為替レートの複雑さと扱いにくさ,政策当局との協調,そして持続可能な財政までを解説する.日銀・金融庁の金融政策を中心に,FRBやECBと各国政策当局の施策も紹介・比較しており,自国経済の理解だけでは全くついていけない現代の金融の動きを把握するエッセンスが詰まっていると感じた,個人的には,信用プレミアムリスクと金融政策の関係や,ニュー・ケイジアンの概要なども簡単に載っているのが良かった.マクロ経済の教科書的理解はしている人向け.2013/03/13
くまん
0
金利について知りたく,手に取った.まだ理解があいまいなので,また読みたい.2013/11/09