出版社内容情報
犯罪被害者遺族、冤罪被害者、手続に携わる人々など、様々な「被害者」の視点から死刑制度を丁寧に論ずる。議論のために必携の書。
内容説明
本書は、死刑廃止・存置のいずれの立場にせよ「人間の尊厳」とは何であるかを考えるうえで核心となる示唆を提供している。
目次
第1章 殺人被害者の家族たち(錯綜する被害者家族たちの地位;被害者家族の視点;被害者家族と終結)
第2章 被害者としての有罪判決?(不当な有罪判決;差別と精神障害;国際法違反のその他の死刑事例)
第3章 被害者としての“隠された”第三者(死刑囚の家族たち;死刑の訴訟手続と執行の参加者;被害者としての社会)
著者等紹介
菊田幸一[キクタコウイチ]
1934年生まれ。現在、弁護士・明治大学名誉教授(法学博士)。中央大学法学部卒業(1957年)後に、明治大学大学院で犯罪学を専攻、博士課程在学中に法務省法務総合研究所研究官補(1962年)となり、カリフォルニア大学犯罪学部に留学(1963~64年)、明治大学教授(1967~75年)を経て、2005年同大学退職。2004年より、弁護士として主に刑事弁護に当たっている。2001年6月の第1回死刑廃止国際会議団長、法務省行刑改革会議委員などを歴任し、現在NPO法人「全国犯罪非行協議会」理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケディーボーイ
29
「被害者」と言われると、犯罪行為をうけた者やその遺族、あるいは冤罪をうけた者くらいしか思い浮かばなかった。 しかしそれ以外に死刑囚の家族や職業的に死刑執行に携わる者たちなどが「被害者」となる事を知った(死刑制度維持にかかる莫大なコストがそれ以外の重要な政策にも影響をきたしてることを鑑みると死刑存置国家の市民全体も「被害者」とされていた)。人種や(良い弁護士を雇える)所得、時代や場所など様々な要因で死刑基準が曖昧になれば、殺された被害者間に格差をうむ。それはつまり人の命に軽重がつくという事でもあるのか。2022/03/30