出版社内容情報
《内容》 序 Annual Review血液学も10年目を迎え,1996年版を出版する事になった. 1993年版から新しい編集陣によるAnnual Review血液学の刊行がおこなわれるようになったが,編集委員の方々の御尽力によって1996年度版も従来のAnnual Review血液学と同様に新しい興味あるテーマが数多くとりあげられ,研究や臨床の第一線にある専門の方々に執筆していただく事が出来た. わが国には従来Annual Reviewの様なReview誌がなかった.その意味でこのシリーズが始まった事は画期的なことであり,そのためもあって創刊以来好評で毎年多くの方々に読んでいただいてきた.しかし反面Annual Reviewと名付けた以上一定の期間内に出版されないと間のぬけたものになってしまう.おかげさまで本年もよいタイミングで1996年版を出版する事が出来た.1996年版の完成に御協力下さった各執筆者の先生方にこの場をかりて心から御礼を申し上げたい. 本年版の内容も血液学の新しい発展を紹介し,読者の方々の期待に答えるものとなっている.監修させていただいたものとして,今までの版と同様にこの1996年版が血液学に興味を持つ多くの方々に愛読していただける事を強く期待している.Annual Review血液学が世界の血液学の流れを示すReview誌となる事を期待して中外医学社からの刊行に協力させていただく様になってから10年がたった.あらためて今迄の編集委員の方々,執筆者の方々に感謝の言葉を捧げる次第である.1995年11月高久史麿 《目次》 目次I.造血幹細胞1.Tecチロシンキナーゼと造血幹細胞 〈間野博行〉1Tec-familyに属するキナーゼの構造 造血幹細胞に働くサイトカインとTecキナーゼ Tecの細胞内における機能 Tecファミリーの他のキナーゼ2.ホメオボックス遺伝子と造血幹細胞および血球細胞 〈出口安裕〉8ホメオボックス遺伝子とその新しいファミリー遺伝子 血液細胞と造血幹細胞および血液腫瘍におけるホメオボックス遺伝子の発現と役割 ホメオボックス遺伝子による他の構造遺伝子の発現調節3.臍帯血幹細胞移植の現状と展望 〈加藤俊一〉22臍帯血の造血能研究の歴史 臍帯血採取と保存 臍帯血移植 臍帯血バンク 将来への展望II.赤血球系1.Fanconi貧血の治療 〈田渕 健 気賀沢寿人〉28臨床的特徴 薬物治療 骨髄移植 今後の展望2.自己免疫性溶血性貧血と自己抗原 〈梶井英治 亀崎豊美〉36自己抗原の分離 Rhシステム血液型とRhポリペプチド band3蛋白 Wrightシステム血液型抗原3.再生不良性貧血の免疫療法 〈北村 聖〉44病態におよぼす免疫的機序 治療法の概要 シクロスポリン ATG/ALG 比較試験と併用療法4.赤血球分化と転写因子 〈峯岸直子 山本雅之〉52GATA因子群の構造と機能 血球分化におけるGATA 因子の役割 GATA因子欠損マウスの解析 今後の展開と問題点5.先天性鉄芽球性貧血とδ-アミノレブリン酸合成酵素 〈青木洋祐〉66鉄芽球性貧血 δ-アミノレブリン酸合成酵素 赤芽球δ-アミノレブリン酸合成酵素活性測定法 先天性鉄芽球性貧血6.エリスロポエチン受容体の構造と機能 〈小松則夫〉73エリスロポエチン受容体と多血症エリスロポエチン受容体と細胞内シグナル伝達エリスロポエチン受容体に関する問題点7.MDSと癌関連遺伝子 〈堀田知光〉79背景 MDSと癌遺伝子の変異 MDSと癌抑制遺伝子の変異 MDSと転写因子III.白血球系1.白血病よび造血器腫瘍とテロメア 〈山田 修〉88テロメアの構造 テロメアDNAの複製 テロメアと細胞の老化・腫瘍化 細胞老化・不死化・癌化の制御 テロメレース テロメアおよびテロメレース活性の測定 造血器疾患とテロメア 造血器疾患とテロメレース活性2.c-kitと白血病 〈金倉 譲 北山 等 池田弘和〉98ヒト白血病細胞におけるc-kitの発現 ヒト白血病細胞に対するSCFの作用 白血病細胞におけるKITの恒常的活性化 c-kit遺伝子における活性化点突然変異の発見 c-kit活性化点突然変異の生物作用3.p15,p16遺伝子と白血病 〈小川誠司 平井久丸〉106細胞周期におけるG1期の制御のメカニズム 染色体9p21の欠損と癌抑制遺伝子 造血器腫瘍におけるp16の不活化 その他の腫瘍におけるp16の不活化 悪性腫瘍におけるp15遺伝子の不活化 p16遺伝子の不活化と腫瘍の進展および予後との関係 p16遺伝子不活化の発癌への寄与4.若年型慢性骨髄性白血病における遺伝子異常 〈生田孝一郎 甲斐純夫〉123JCMLの診断 JCMLの遺伝子異常5.白血病におけるWT1遺伝子の発現と予後 〈井上和司 小川啓恭 杉山治夫〉130正常造血組織及び造血器腫瘍におけるWT1遺伝子の発現白血病検体におけるWT1の変異 急性白血病検体におけるWT1遺伝子の発現と患者予後 WT1遺伝子定量による白血病微少残存病変minimal residual disease(MRD)の検出6.骨髄移植後の白血病再発の治療 〈小澤敬也〉137白血病に対する骨髄移植 骨髄移植後の再発白血病に対する治療法7.成人急性リンパ性白血病の治療指針 〈大野竜三〉145小児急性リンパ性白血病と成人急性リンパ性白血病の相違 成人急性リンパ性白血病の化学療法成績の現況 成人急性リンパ性白血病の骨髄移植療法の成績 薬剤耐性克服療法としての骨髄移植療法(BMT) 同種骨髄移植療法の問題点 自家骨髄ならびに末梢血幹細胞移植 成人急性リンパ性白血病の第一寛解期での骨髄移植療法か化学療法かの選択 フランスグループによる成人急性リンパ性白血病の第一寛解期での骨髄移植療法か化学療法の前方向比較研究 成人急性リンパ性白血病におけるドイツグループの化学療法の成績と国際骨髄移植登録症例とのmatched-pair analysisによる検討 成人急性リンパ性白血病の治療指針1996 急性リンパ性白血病における支持療法,特に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)8.慢性骨髄性白血病の治療方針 〈浦部晶夫〉157臨床像の把握について 骨髄移植療法 IFN療法 自家幹細胞移植 AraC少量療法の効果 治療法の選択について9.慢性肉芽腫症の遺伝子治療 〈金ヶ崎士朗 布井博幸〉165白血球のスーパーオキシドアニオン産生機構と慢性肉芽腫症 慢性肉芽腫症の臨床と統計 慢性肉芽腫症異常遺伝子の解析 慢性肉芽腫症の治療 遺伝子導入発現によるスーパーオキシドアニオン産生系の回復 慢性肉芽腫症の遺伝子治療 慢性肉芽腫症の遺伝子治療の将来IV.リンパ球系1.慢性活動性EBウイルス感染症における最近の知見 〈大賀正一 宮崎澄雄〉174EBVの分子生物学的特性と感染様式 CAEBVの診断 CAEBVの治療2.X連鎖重症複合免疫不全症の遺伝子診断 〈鄭 恩瑛 眞弓光文〉182X-SCIDの原因遺伝子 IL-2受容体γc鎖遺伝子異常とX-SCIDの病態について X-SCIDの遺伝子診断の意義3.2-Chlorodeoxyadenosine(2-CdA,Cladribine)による白血病およびリンパ腫の治療 〈飛内賢正〉1882-CdAの作用機作 臨床第I相試験の成績,および薬物動態学的検討 Hairy cell leukemia(HCL)に対する臨床第II相試験の成績 他のリンパ系腫瘍に対する臨床第II相試験の成績 骨髄性白血病に対する有効性の検討V.血小板1.トロンボポエチンと血小板産生 〈寺村正尚〉196TPO発見の経緯 TPOのクローニング TPOの構造 TPOの産生臓器 TPOの作用 TPOのシグナル伝達 TPOの血小板凝集能に対する影響 TPOと血小板増加を伴う白血病との関係 TPOによる血小板産生の調節機構2.ITPにおける妊娠と分娩(含 新生児血小板減少症) 〈藤村欣吾〉207新生児血小板減少症について 特発性血小板減少性紫斑病 (ITP)の妊娠,分娩管理3.von Willebrand factor-血小板膜糖蛋白質Ib/IX結合の分子機作 〈宮田茂樹〉217vWFならびに血小板膜GP Ib/IX複合体の構造vWF A1domainならびにGP Ibαにおける機能部位vWF A1domainと血小板GP Ibの反応調節機序の推定vWF-GP Ib/IX複合体反応による血小板の活性化4.血栓性血小板減少性紫斑病と溶血性尿毒症症候群:最近の進歩 〈高橋芳右〉228血管内皮細胞傷害 凝固活性化と組織因子および組織因子経路インヒビター von Willebrand因子 血小板凝集因子 血小板凝集因子とvon Willebrand因子の相互作用治療法の進歩VI.凝固線溶系1.APCレジスタンス(APC不応症) 〈鈴木宏治〉236APCレジスタンスの臨床的特徴 APCレジスタンス患者の臨床病理 APCレジスタンスの病因解析 第V因子におけるArg506→Gln変異の意味 APCレジスタンスと他の血栓性素因 新しいプロテインC凝固制御系2.ウロキナーゼ受容体:その基礎からの新しい展開 〈高橋 敬〉245リガンドと受容体 ドメイン化された膜と細胞性線溶 プラスミノゲン活性化システムとMMP3.トロンビン受容体:最近の進歩 〈丸山征郎〉261TRの局在とダイナミズム 機能 TRからのシグナル伝達経路 病態,疾患との関連 治療との関連4.TFPIの機能とその生理的意義:現況と今後の展望 〈加藤久雄〉269細胞表面上での凝固反応の制御 血漿中TFPIレベルの変動 今後の展望5.活性型第VII因子の臨床応用 〈高松純樹〉277第VII因子の生化学 インヒビター治療への応用 VIIa因子製剤の臨床応用 F VIIaの今後の課題6.ヒルジン 〈朝倉英策〉285ヒルジン,遺伝子組換えヒルジンと作用機序 フィブリンに結合したトロンビンに対する抗凝固作用 ヒルジンの代謝 ヒルジンの拮抗薬 抗原性 DIC治療薬としてのヒルジン ヒルジンのその他の臨床応用 ヒルゲンとヒルログ,アルガトロバン索引 294Annual Review血液1995目次 299
-
- 和書
- 理想の社長交代