EBM―医学研究・診療の方法論 (2版)

EBM―医学研究・診療の方法論 (2版)

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  • サイズ A5判/ページ数 173p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784498009530
  • Cコード C3047

出版社内容情報

《内容》 現在医学界の大きな潮流となっているevidence based medicine(EBM)について,その原理,方法論を解説した.臨床疫学や医学判断学の考え方と方法論,さらには批判的な論文の読み方,インターネットの活用法までをわかりやすく紹介した.今回の改訂では「批判的吟味の活用:EBMの実践」として新たな章を設け,診療に活用するためのポイントがいっそうわかりやすくなった. 2版の序  編者が初めて疫学調査,疫学研究にかかわったのは昭和40年代後半の長崎県五島列島の肝癌・肝硬変の調査であったと記憶している.すでにそれから四半世紀以上が経過したこととなる.当時編者らはある大学の疫学教室で,疫学調査研究を続けていたが,そのころ大学で「疫学」を標榜する研究室はごく少なく,新聞やニュースなどで,「日本の大学には疫学の研究室はない」などと報じられると,少し怒りを覚えると同時にこの分野のマイナー性を再認識させられるものであった.しかし,最近は「疫学」をつける研究室もふえ,臨床疫学,EBM(Evidence-Based Medicine)の隆盛を見るとまさに隔世の感がある.  編者らがEBMの普及,啓蒙活動を始めて4,5年になる.そのような活動が出版社の目にとまったのか,そこからの依頼でEBM関連の連載を始めたのは3年前であった.そして,2年前には日本で初めてのEBMのテキストブックを発刊した.欧米のEBMの単なる受け売りではなく,日本の事情を考慮して内容を検討,選択,記述したものであった.その後多くの出版社から,EBMブームということでEBMの訳本,テキストブックが発売されているが,編者の目から見ると,日本の実状を考慮せず受け売り的に出版している感を強くするものが多い.幸い編者らのテキストブックは多くの支持を得,改訂,追加の要望もたくさんいただいた.それらを考慮し,今回改訂版を出版する運びとなった.新たな著者には,この分野で,最近活躍著しい若手の3名,大御所1名に加わっていただくこととした.  内容的には全般的に見直し,最新情報に置き換えると同時に,何点かは新たに書き下ろし,全面改訂をした.1章にはEBMの関連項目,関連分野を追加し,厚生省のEBMへの取り組み,ガイドラインなども解説した.10章は新たに章を設け,EBMの実践について,情報検索,実践の実例を掲載した.また,8,9章は大きく改訂し,11,12章も全面的に最新情報で改訂した.  本書は初版でも示したように,現在,医学界の大きな潮流となっているEvidence-Based Medicineについて,原理,方法論を日本の現状を充分考慮して解説したものである.  現在,多くの情報が氾濫する状況の中で,臨床医学を実践する臨床医,医学研究者に求められるものは,単なる直感や,あやふやな経験に基づく医療ではなく,より明確な根拠に基づく医療の実践,およびその根拠を導き出す方法論の確立と実際の根拠の提出である.それを実践するためのテキストが本書である.  また,本著は数名の著者で記載しているため,用語の統一,一冊の本としての流れの一貫性などには編著者,分担著者が細心の注意を払った.しかし,編集・校正期間が短かったため,不完全の部分があるやもしれない.この点に関しては読者の皆様方の忌憚のない御意見をいただきたい.  また,類似した図表が何カ所かに見られるが,これは1箇所にまとめるよりも,適宜必要箇所で参照できた方が煩雑さがなくなり,理解を助けるものと判断したので,そのような形式とした.これらの点に関しても読者の皆様方の御批判,御意見をいただきたい.  企画から,校正,編集に至るまで長期にわたり,ひとかたならぬ協力と激励をいただいた中外医学社の小川孝志氏を初めとする編集スタッフ一同には心から感謝を申し上げたい.また,資料整理,イラスト作成などにご協力をいただいた縣千聖嬢,縣賢太郎氏には最大の謝意を表したい.   2000年2月 編著者  縣 俊彦    《目次》 目 次 1 新しい大きな潮流 : EBM(Evidence-Based Medicine)  1   EBMとは  1   EBMの臨床での利用法  4   エヴィデンスのレベル  8   EBMの周辺状況  9 2 EBMの根幹 : 臨床疫学  13   臨床疫学とは  13   医療効果,有効性の評価  13   研究方法  14   相対危険と寄与危険  16   臨床疲学における誤差  19   臨床疫学における誤差への対策  21 3 意思決定の科学 : 医学判断学  23   医学判断学とは  23   臨床判断分析学(臨床での意思決定)  24   医学判断学の特徴と問題点  31   メディカルテクノロジーアセスメント  32 4 簡単そうで実は難しい調査 : 質問紙調査  38   質問紙調査とは  38   研究論文作成  49 5 臨床試験の中心的方法 : 無作為化比較試験  50   医学研究のデザイン  50   GCPの制定と改正  52   臨床試験  56   無作為化比較試験(RCT)  62   治療の割付方法  63   適格症例の選択  66   エンドポイントの考え方  67   必要症例数  67 6 時間軸つき寿命モデルの解法 : 生命表解析  69   Kaplan-Meier法,life-table法  70   Coxの比例ハザードモデル  75 7 相互関連のある測定値の解析法 : 多変量解析  82   多変量解析とは  82   重回帰分析とは  85   変数選択のための検定法,変数選択基準  88   回帰分析を行う際の注意点  89 8 系統的レビューの量的要約 : メタアナリシス  97   メタアナリシスとは  97   メタアナリシスの実際  98 9 エヴィデンスの正当性の確認法 : 批判的論文の読み方  108   なぜ「批判的論文の読み方」か  108   批判的論文の読み方  109   さらに学ぶために  115 10 批判的吟味の活用:EBMの実践  117   情報の種類  117   EBM実践の5ステップ  123   EBM実践  125     I.糖尿病の治療  125     II.前立腺癌のスクリーニング  133     III.糖尿病検診  136 11 EBMの有効な補助手段 : インターネット活用法  142   サーチエンジン  144   実際の検索方法  148 12 EBMの検索と医師関連ホームページの実例  153   EBMの検索  153   日本の医療関連ホームページ  155   海外の医学関連ホームページ  158 索 引…164

内容説明

編者らがEBMの普及、啓蒙活動を始めて4,5年になる。1998年には日本で初めてのEBMのテキストブックを発刊した。欧米のEBMの単なる受け売りではなく、日本の事情を考慮して内容を検討、選択、記述したものであった。今回改訂版を出版する運びとなった。内容的には全般的に見直し、最新情報に置き換えると同時に、何点かは新たに書き下ろし、全面改訂をした。1章にはEBMの関連項目、関連分野を追加し、厚生省のEBMへの取り組み、ガイドラインなども解説した。10章は新たに章を設け、EBMの実践について、情報検索、実践の実例を掲載した。また、8,9章は大きく改訂し、11,12章も全面的に最新情報で改訂した。本書は、現在、医学界の大きな潮流となっているEvidence‐Based Medicineについて、原理、方法論を日本の現状を充分考慮して解説したものである。

目次

新しい大きな潮流:EBM(Evidence‐Based Medicine)
EBMの根幹:臨床疫学
意思決定の科学:医学判断学
簡単そうで実は難しい調査:質問紙調査
臨床試験の中心的方法:無作為化比較試験
時間軸つき寿命モデルの解法:生命表解析
相互関連のある測定値の解析法:多変量解析
系統的レビューの量的要約:メタアナリシス
エヴィデンスの正当性の確認法:批判的論文の読み方
批判的吟味の活用:EBMの実践〔ほか〕

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