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両シチリア連隊

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  • サイズ B6判/ページ数 281p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784488010362
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

出版社内容情報

栄誉ある連隊の兵士たちを襲う、奇怪な災厄と姿なき殺人者。謎に次ぐ謎の果て、明らかとなる衝撃の真相とは──退廃の都ウィーンを舞台とした、反ミステリの金字塔。本邦初訳。

内容説明

1925年、二重帝国崩壊後のウィーン。大戦時に両シチリア連隊を率いたロションヴィル大佐は、娘のガブリエーレとともに元トリエステ総督の催す夜会に招かれた。その席で彼は、見知らぬ男から、ロシアで捕虜となって脱走した末、ニコライ大公に別人と取り違えられたという奇妙な体験談を聞く。そして宴もお開きになるころ、元両シチリア連隊の将校エンゲルスハウゼンが、邸宅の一室で首を捻られて殺害される。六日後には、事件を調べていた元連隊の少尉が行方不明となり…。第一次世界大戦を生き延びた兵士たちが、なぜ今“死”に見舞われるのか。謎に次ぐ謎の果て、明らかとなる衝撃の真相とは。二重身、白昼夢、幻視、運命の謎。夢想と論理が織りなす、世の終わりのための探偵小説。反ミステリの金字塔。

著者等紹介

レルネット=ホレーニア,アレクサンダー[レルネットホレーニア,アレクサンダー] [Lernet‐Holenia,Alexander]
1897年生まれ。オーストリア、ウィーン出身の作家で、幻想小説や冒険小説を多数執筆している。1976年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

50
元連隊の人間が一人、また一人とこの世から姿を消していく。こう書くと戦時中に起きた何かの謎を解くといったものを連想するんだけど、あにはからんや幻想小説であった。一応ミステリとしての解決も最後にデウス・エクス・マキナっぽく明らかになるんだけど、著者の主題にしたかった事はもっと別な事なように思う。もっと大きな、運命というか流れというか。衒学的な文章やドッペルゲンガー、幻視といったものも効果的に使われており、それらが作品全体に何とも言えない雰囲気を加えているし。何より大戦間のウィーンの空気が現れているのが良い。2015/01/31

星落秋風五丈原

24
今はなき両シチリア連隊のメンバーが一人また一人と亡くなったり行方不明になったりする。すわ『そして誰もいなくなった』か?と思うがなかなか読書の思うように推理モードに入らせてくれない。なるほど、読みにくい小説ではある。章タイトルが全て連隊メンバーの名前になっており、捜査を担当するゴードンも探偵役であるにも関わらず登場頻度は少ない。オーストリア=ハンガリー二重帝国を生きた作家にとってはアイデンティティなどはなからあてにはならないものなのか。2015/10/15

アトレーユ

13
各章ごとに登場人物の一人にスポットをあて、主題の話が螺旋的に進むという構成はすごく好きだ。ミステリ…う~ん、殺人があり、謎解きがあればミステリというのか? 結末は、陳腐ではないが、煙に巻かれた気分。アト的には、すっきり・しっくりせず。2015/12/21

rinakko

11
面白い…ていいますか、すこぶる好みだった。めくるめく惑わしに満ちた反ミステリ。まるでメビウスの帯の上を辿らされているようだったり、かと思えば合わせ鏡を覗き込む心地に似た…眩暈感に酔う、不思議な味わいの作品だった。ある殺人の謎と赤毛の美女ガブリエーレの恋と、それらをめぐる男たち(元両シチリア連隊)の暗躍、鞘当…。話の流れそのものが幻想の如く、風変わりに美しい。(ジルヴァーシュトルペの幻視など、とても印象的だった)2014/09/12

スターライト

6
読み終わってもにわかには頭の整理がつかなくなるほど、凝った作品。夜会に現れた騎兵大尉ガスパリネッティの別人との取り違えた話からして、不穏な空気が作品に漂い、両シチリア連隊に所属していた人々が次々に死に見舞われる。物語には要所にしか出てこないゴードン警部が最後に種明かしをするが、読者はそれに唖然とすることだろう。解説によると本作はアンチ・ミステリだそうだが、読後、きれいに落ちがついてスッキリしたというより、キツネにつままれた気分なのは、ペルッツ同様、幻想的な要素が作品に漂っているせいもあるだろう。2015/12/31

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