内容説明
専門馬鹿は、専門から外れると、まったく生活能力がない。専門馬鹿を大量に輩出させた責任者である文部科学省は、それを見て危機感を覚え、これからは《生きる力》を身につけさせるなどといいだした。いいだしたはいいが、そのノウハウを見つけられないものだから、また専門馬鹿路線に逆戻りしようとしている。つむじ曲がりで精神科医の著者は、かれらの代わりに、こうした世の中を、どのように治療したらいいか、ずっと考え続けてきた。そして、そのための処方が馬鹿をふやすことだと考えた。不安が渦巻く世の中。何をどう考えたらよいのか。大事なことに気づかせてくれるユニークな教育論。
目次
まえがき 馬鹿のすすめ
第1部 待つということ(専門馬鹿と馬鹿専門;太鼓は腹で聴く ほか)
第2部 想像するということ(国旗よりも大切なもの;私たちの忘れてしまったこと ほか)
第3部 考えるということ(現代の戦争に勝者はいない;誤訳が国を動かすこともある ほか)
著者等紹介
なだいなだ[ナダイナダ]
1929年、慶応義塾大学医学部卒業。精神科医・作家
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感想・レビュー
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Nobuko Hashimoto
20
エッセイ集。さらさらっと読めるので少しずつ楽しんだ。時事的なものは年月が経ってわかりづらくなったものも。面白かったのは、知ってるつもりできちんと読んでなかったガリヴァー旅行記を読み直したら面白くて、自分が法学部の先生なら絶対テキストに使うと熱く語る話。そんなこと言われた日には使わねば? そういえば私もきちんと読んでなかったので早速お取り寄せ〜2019/02/28
Prince of Scotch
3
精神科医にして作家、かつて国立久里浜病院の「名物院長」であった、なだいなだ氏によるエッセイ集。「馬鹿」とは、先入観を持たず虚心坦懐であること、「つむじ曲がり」とは常識や権威に盲従せず、常に批判精神と柔軟性を持て、との著者からのメッセージであるとボクは解釈した。収録24作品中では「専門馬鹿と馬鹿専門」「教育論は多すぎるか?」「言葉一つでもこうも違う」「まじめと誠実」がとても印象的なエッセイだった。 2018/05/15
ophiuchi
3
当り前と思われていることを疑ってみるところから思わぬ正論が出てくるところが面白い。2010/07/07