出版社内容情報
20世紀フランスを代表する作家の個人全訳集成。第Ⅳ巻には実験的な小説「贋金つくり」「『贋金つくり』の日記」、最後の作品「テゼ(テーセウス)」を収録。
内容説明
いかなる物語へも収束されない“純粋小説”を問い、未来に開かれた野心作『贋金つくり』、このメタフィクションを別光源から照らす創作ノート『『贋金つくり』の日記』、ギリシア王に生涯を生ききった者の感慨を託す『テーセウス』。ジッド円熟期の傑作三篇を収める。
著者等紹介
二宮正之[ニノミヤマサユキ]
1938‐。東京生まれ。東京大学で学んだのち渡仏、1965年以来在欧。パリとジュネーヴで教鞭をとり、ジュネーヴ大学名誉教授。著書に『私の中のシャルトル』(筑摩書房、1990年、日本エッセイスト・クラブ賞)、『小林秀雄のこと』(岩波書店、2000年、芸術選奨文部科学大臣賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あっきー
14
⭐2 桑原世界近代小説五十選40冊目、「贋金つくり」400pの小説のみを読む、ストリーは無いようなもので登場人物が好きに喋り散らしている、実験的で影響力があったらしいが残念ながらどこが面白いのか理解できなかった、ただ文字を追っていくだけになってしまい、しんどいまま終了した2023/11/05
みつ
14
30年以上前に読んだ『贋金つくり』の新訳。当時は『狭き門』を始めとするキリスト教の世界観が強いジッド作品との距離感があったなかで、本作については実験的でありながらどこか洒落た構成に夢中になっていたが、今回はあれ程のめり込むことがなかった。インターネットで登場人物表を手に入れなければ作品がどこに向かうのかもわからないと感じたのは、記憶力と感受性の衰えか。様々の視点が入り組み、そこに『贋金つくり』という小説を執筆しようとする男の手帳が幾度となく挿入される。プルーストからの変容、福永武彦にもつながる要素も。➡️2022/09/05
還暦院erk
7
図書館本。わたしは昔、『狭き門』を読もうとしたが初め数ページで挫折した黒歴史有り。本書の『贋金つくり』は登場人物の関係などをメモしつつ読んでいったおかげか集中が途切れず読了。作者が「ホンのさりげないエピ」的に描いたであろうラ・ペルーズ夫妻の「かみ合わない老老関係&それぞれの認知不全」が印象に残った。あと、モリニエ夫人の諦め人生やストルーヴィルーの黒幕的点滅…主人公たちより注目してしまった。個人的感想だが、ベルナールもオリヴィエも更にエドゥアールも女性の扱いが相当残念。尊重してないわけじゃない筈なのに雑…2023/06/27