出版社内容情報
被災者の「心」の回復のために本が必要だ。人々へ本を届ける移動図書館プロジェクト。本の力を信じて行われているボランティア活動の始動から現在までの記録。
内容説明
被災者の心の回復のために「本」を届ける移動図書館プロジェクトが東日本大震災直後に立ち上げられた。本のチカラを信じて行われたボランティア活動の誕生から現在までを綴る。
目次
序章 東日本大震災のこと、自分にとっての本の存在
1章 なぜ移動図書館なのか(東北へ;緊急救援時における一〇カ条 ほか)
2章 読みたい本を読みたい人へ届けるために(シャンティの移動図書館プロジェクトができるまで;自治体とのやり取り ほか)
3章 本を読むこと(ここにくればまた読める;お母さんの心のお守りに ほか)
4章 本のチカラを信じて(本は「つなぐ」もの;情報を伝える ほか)
おわりに 衣食住と本と
著者等紹介
鎌倉幸子[カマクラサチコ]
1973年青森県生まれ。8年間シャンティ国際ボランティア会カンボジア事務所で本の出版、図書館活動に従事。東日本大震災直後に岩手県に入り、移動図書館事業を立ち上げた。現在、東日本大震災図書館事業のアドバイザー兼シャンティ国際ボランティア会広報課長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
298
東日本大震災の被災地での移動図書館(本を大量に積める自動車で巡回)支援活動を綴った貴重なドキュメンタリー。この本の特別な理由は、被災後、2か月足らずの5月2日に現地に入ってからの、事業立ち上げの記録が克明に記録されていること。良かったことも、うまくいかなかったことも正直に真摯に語られる。「食べ物は食べたら無くなるけれど、本は読んだら記憶に残る。だから本を子供たちに届けたいんです」(宮城・気仙沼市図書館の司書の言葉)。古代エジプト・テーベ図書館に掲げられていた「魂の治療所」。言葉の力に、勇気をもらえます。2021/05/21
やすらぎ
118
被災地に届けられた図書館。あまりの出来事に言葉を失いながら、本を手に取り喜んでくれる人たちの顔を思い浮かべ、本を選び、届ける。絵本を読むとぐっすり眠れる子どもたち。感情を閉じ込めたおばあちゃんが本に出会い流した涙。本は背中を押してくれた…。時の経過とともに変化する求める本。懐かしい本、思い出の本、泣きたい本、笑いたい本、感情が溢れる本のチカラ。辛いとき、悲しいとき、本を開くと一瞬でも忘れさせてくれる。本はいろんな人を繋げてくれる。本は心を開いてくれる。非常時、このような行動をとれる全ての方々を尊敬します。2019/02/16
くぅ
41
『約束を守るという当たり前の連続こそ、移動図書館の基本姿勢』『忘れてしまうことが大事なこともあるが、これだけは忘れてはいけない』『文化の復興は心の復興』『文化は人間の中に根をはる』3月11日に追悼と復興を願い読了。被災状況や復興に関する本は手に取ってきたが、図書館という観点で震災を振り返るのは初めてで新たに知ることも多い。地域性の強い蔵書や絶版している書籍が被害にあい記録が途絶えるという現実の中、国会図書館の役割も大きいと改めて感じた。寄付ではなく、貸出にする必要性も被災地の子供の心を育む上で非常に重要。2016/03/11
ぐっち
37
東北で移動図書館のボランティア事業を立ち上げ、今も継続して行っている著者の記録。それにしても、このボランティア団体の行動の早いこと。3月12日に対策会議、3月15・16日には代表者が、著者も4月5日には東北入りして、7月16日に運転開始している。どうして本が復興支援になるのか、どんな本が好まれるか、回ったところの人の反応はどうだったか。読んでるうちに、人と本の力を実感できる。2014/03/22
ふろんた2.0
35
東日本大震災からの復興を目的として活動を開始した移動図書館プロジェクト。物資や住環境のことを最優先に考えがちだが、使命感を持った行動は早い。物資を救援することではなく、生活に寄り添い、その意義を理解しているからこそ、今でも活動を継続している。この”継続”するということがすごいことと思う。本のある生活、本のチカラを感じた。2014/05/06