出版社内容情報
認知心理学最新の研究を通し、こどもが言葉や概念を覚えていく仕組みを徹底的に解明。さらにその仕組みを応用した外国語学習法を提案する。
内容説明
気鋭の認知心理学者が膨大な実験を通して、発達期の子どもがさまざまな概念を言葉と結びつけ、脳内の地図に瞬時に書き込んでいく驚くべきメカニズムを徹底的に解明。その仕組みを応用し、母語を習得した後に外国語を学習する際の効果的な方法も提案する。
目次
単語の切り出し―ことばの学習のために子どもが最初にすること
モノの名前の学習
基礎レベルのカテゴリー名以外の名詞の学習
動詞の学習
属性をあらわす語(形容詞)の学習
助数詞の学習
擬態語の学習
言語構造の違いは語彙獲得にどう影響するのか
子どもによる語彙の構築―即時マッピングとその後の意味の再編成
外国語における語彙の学習
著者等紹介
今井むつみ[イマイムツミ]
慶應義塾大学環境情報学部教授。1994年、ノースウエスタン大学心理学部よりPh.D.取得。専門は認知科学、言語心理学、発達心理学
針生悦子[ハリュウエツコ]
東京大学大学院教育学研究科准教授。1995年、東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。専門は認知科学、発達心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
377
啓蒙書の域を越えて研究書レベル。実験等に対する説明も懇切丁寧過ぎて(研究書では当然なのだろうが)やや煩雑に感じかねないくらい。参考文献も英米のものを中心に多数。本書は「子どもがどのようにしてことばを世界と対応づけ、概念を整理し、体系づけ、大人のもつ膨大な心的語彙を構築していくのか」を丁寧に跡付けて明らかにしようとしたもの。なるほど、そうだなあと思うこと多数。例えばアメリカの哲学者クワインが提起した「ガヴァガーイ問題」など、興味を魅かれることもたくさん。そして、人間の認知の凄さには神秘的なものさえ感じる。 2022/06/11
makimakimasa
10
まさに子供が2歳で語彙爆発期(多いと1日10語のペースで覚えるという)を迎えているので、始めにも指摘がある通り実験の記述が多い理系的な本ではあったが、興味が勝って読み切った。子供達の無意識な語意推論の裏にあるバイアス、カテゴリーや属性の判断、適切な般用の基準、意味の再編成、何を手掛かりとしてこの巨大で複雑な語彙システムを構築しているのか、日本語話者だけでなく英語や中国語などとの比較も通して解き明かされていく。研究者の仮説検証と思考過程を読み通すのは大変だが刺激的だった。2022/11/15
読書熊
9
子どもが言葉を覚える仕組みがさまざまな実験結果から見えてきた2022/10/06
amanon
6
以前読んだ『言語の本質』が非常に良かったので、こちらも手に取ることに。概ね興味深く読めたが、前書きにもあるように実験に関する記述は、ややとっつきにくかったというのが正直なところ。ただ、『言語』でも触れているように、言語習得のプロセスというのは、非常に複雑で、一つのことを解明することによって、新たな謎が露わになるという底知れないものなのだな…と改めて痛感。また、また未就学児の言語習得の過程を具体的実験を通して明らかにしていくというプロセスは非常に興味深いが、ただ被験者となった子供たちへの影響が気になる。2024/04/11
水菜
6
現在英語を学んでいる身からすると、「言葉を覚える」という研究の本は面白いと同時に「うわーこんな難しいことをしてるのか」というような気持ちになった。われわれが母語を学ぶのは胎生期から始まっているそうで…うわー胎児に戻って勉強しなきゃ。色名が言語によってかなり違いがあるというのが面白い。色の認識の具合も違うのだろうか?実験とその結果が詳しく書かれている2014/08/04