内容説明
イスラームとキリスト教。同じ一神教的世界にありながら、その経済思想には重大な差異がある。イスラーム的貨幣論は「一」を意味する「タウヒード」の構造によって組み立てられ、徹底した唯一神信仰によって利子を厳禁する。一方、キリスト教的貨幣論は「三位一体説」にもとづく増殖性を秘め、資本主義と極めて親和的である。この両者の圧倒的な非対称が世界の現状を理解する鍵であり、イスラームは資本主義にとってその存在自体が一つの経済学批判であることを、『資本論』の核心である価値形態論を再構築することによって明らかにする。
目次
圧倒的な非対称
緑の資本論
シュトックハウゼン事件
appendix モノとの同盟
著者等紹介
中沢新一[ナカザワシンイチ]
1950年山梨県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。思想家・人類学者。現在、多摩美術大学芸術学部教授、芸術人類学研究所所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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em
19
一神教の経済思想の違い。キリスト教の三位一体説がはらむ増殖性は利潤(利子)を肯定し、資本主義と親和性を持つ。対してイスラム教は、厳密な「一」の定義により利子を否定する。後半でとくに面白い比較は、ハイデガーの「存在」ー古代ギリシアの「ピュシス」と日本の「モノ」について。ギリシアのピュシスは光を内在し、暝さの中から明るさのうちに「立ち現れる」。一方日本的な「モノ」は、タマ(魂)が覆いを破って「あらはれる」。それは光でも闇でもなく、混成系としての「ある」。ここから贈与、資本へと論が進められていく。2018/03/17
ほぼひつじ
12
気になってる作家さんが買ったらしいということで、読んでみた。人類学は苦手で、あまり理解できないだろうなとダメモトで読んでみたけど、まだ読みやすくて良かったです。イスラームとキリスト教が、経済の在り方と密接に関わるのも興味深かったし、圧倒的な非対称なんかはホントもっともだと思います。もっと知識があれば面白そうなんだけどなぁ、まだ早かったです。2015/12/14
またの名
9
ゾクッとくる異性に出会うとか霊力が漂うなど特別な力を感じさせる対象マナに現れる、対になるべきシニフィエからズレて浮遊する過剰なシニフィアンが、商品と商品のズレが剰余価値を水増しする資本主義の至る所で想像的な魔術として発生。著者はその原因を、無限で均質な貨幣という神が有限な商品世界に入り込む=無限の神が同時に有限な人間イエスとして降臨する究極技を発明したキリスト教に見る。対して全てが無限な神に結びつくイスラムは、資本が自分で資本を産む過程を禁じたとトンデモ調で議論。かの地で確かに資本主義は発展しなかった…。2021/05/23
かとうさん
5
交換、分配、贈与の中で贈与について、あれこれ思索していて面白い。何度も、読み返す。何でも値段が付く市場主義が最強な雰囲気に疲れたときに読むと元気が出る本で。贈与は、陰徳が美徳で日の目見ないんだけどこの世の地盤なんじゃ無いかなんて想像膨らむ好きな本。私の中で、中沢新一さんは偉い人と決定した本でした。2016/08/01
坂口衣美(エミ)
5
「緑の資本論」読みごたえがある。イスラームの考え方や宗教のことをよく知らないので難しく感じたが、なぜイスラームが利子を禁止しているのかをイメージすることができて面白かった。2014/02/13




