出版社内容情報
高まる生活保護バッシング。その現場では、いったい何が起きているのか。自殺、餓死、孤立死……。追いつめられ、命までも奪われる「恐怖の現場」の真相に迫る。
内容説明
不正受給問題を巡り、生活保護への「バッシング」が高まっている。バッシングは政治問題にまで発展し、いまや取り締まりの強化や支給額の削減へと議論は進んでいる。しかし、私たちは生活保護の実態を知っているのだろうか?自殺・餓死・孤立死―。そこには追いつめられ、専厳を踏みにじられ、果ては命さえも奪われる現実がある。本書は、受給者をとりまく現実が、日本社会になにをもたらすのかを解き明かす。「最後のセーフティネット」の抱える本当の問題をあぶりだす、生活保護問題の決定版!
目次
第1章 生活保護の現場で何が起きているか
第2章 命を奪う生活保護行政
第3章 保護開始後の違法行政のパターン
第4章 違法行政が生保費を増大させる
第5章 生活保護問題の構造と対策
終章 法改正でどうなるのか
著者等紹介
今野晴貴[コンノハルキ]
1983年仙台市生まれ。NPO法人POSSE代表。一橋大学大学院社会学研究科博士課程。これまで1500件を超える労働・生活相談に関わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おいしゃん
28
生活困窮者を救う団体を運営する著者だけに、行政は悪!というスタンスで描かれているのが気になったが、受給者と一般的な生活にあまりに大きな乖離があるがゆえ、なかなか非受給へ戻れなかったり不正受給が起きてしまう、というのは確かに大きな問題と感じた。そして図書館でこの本を借りたが、各ページに枝毛?が大量になすりつけられていたのも大きな問題だった。2022/11/23
AICHAN
23
図書館本。生活保護制度は弱者救済の制度とみるべきではない。国家の福祉制度にすぎない。先進諸国では貧困化を防ぎ社会を維持することは国家的に重要だと考えられている…。つまり困窮者をさらに困窮させれば社会的損失になり、その国の経済活動に重大な損失を与えるということだ。その視点から生活保護制度を語る。ブラック企業などの劣悪環境で働く若者たちが精神疾患になり、派遣切りで多くの労働者がいきなり困窮者になる。今は働いている人間が明日は生保対象の困窮者になり得る。生保は特別な人に対する救済制度ではない。2016/05/14
みのゆかパパ@ぼちぼち読んでます
22
困窮者の支援活動を行っているNPO法人の代表である著者が、現場で遭遇した事例をもとに生活保護制度の問題点に迫った一冊。「最後のセーフティーネット」と言われる同制度ではあるが、本当に支援が必要な人でさえ利用が阻まれ、運よく利用できた人にも困窮状態から抜け出すための十分な支援がされていない実情が伝わってきて、求められる機能が十分に果たせていないと痛感させられる。しかし、誰だって困窮状態に陥る可能性がある世の中であるだけに、このままでいいはずがない。本書が一助となり、よりよい制度への議論が起こることを望みたい。2013/10/22
異世界西郷さん
21
生活保護の現状と展望を記した一冊。実際の事例を提示しながら話が進むのでとても読みやすかったです。 “適正化”の名のもとに繰り広げられる公的機関の生活保護受給者に対する圧迫の数々。最悪、自殺や餓死に至ることもあり、これが本当のことならこれほど酷いことも無いのではないかと思います。かつては機能した法律が社会構造の急激な変化に付いていけず、逆に足枷になってしまう良い例なのではないでしょうか。このご時世、貧困は誰でも陥る可能性がありますからね。この問題はよくよく考えていかなければならないと思います。2016/01/03
太田青磁
20
NPO法人に寄せられる生活保護への厳しい環境に驚きます。地方自治体の財政の緊迫は社会の最も虐げられている貧困層に襲いかかります。マスコミに作られた生活保護バッシングには、ただ心を痛めるばかりです。専門性を持たない行政が貧困ビジネスの手先となり、貧困のサイクルが人間を破壊する。毎年のように水際作戦が元で餓死で亡くなる人が絶えない事実は、福祉行政を地方にすべてを丸投げした国家の怠慢に見えてならない。憲法第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。2013/08/10