内容説明
内藤新宿でやくざが次々に殺害された。探索の過程で浮かび上がってきた「ふまのもの」とは、いったい何者なのか。一方、随筆集『甲子夜話』で知られる松浦静山が、南町奉行根岸肥前守鎮衛に怪異の謎解きを迫る。奇談集『耳袋』を書き記した赤鬼奉行根岸肥前が、江戸に起きる怪事件の謎を次々解き明かす痛快お裁き帖。シリーズ第七弾。
著者等紹介
風野真知雄[カゼノマチオ]
1951年、福島県に生まれる。立教大学法学部卒業。1993年、『黒牛と妖怪』で第一七回歴史文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タツ フカガワ
50
宿場町内藤新宿でやくざが次々に殺される。手口は巧妙で、下手人らしい若い男女の姿が目撃される。一方、南町奉行の根岸肥前守が元老中の松平定信を訪ねると、のちに当時の社会・風俗・人物評伝から奇譚を収めた『甲子夜話』の著者の肥前平戸藩主松浦壱岐守(静山)がいた。そこで静山が披露する天狗にさらわれた中間の摩訶不思議な話。が、先の事件をはじめ、根岸は天狗の一件までも見事に解き明かす。ときおり挟まれるトリビア的な時代考証も面白く、肩の凝らない語り口も癖になる捕物帳です。2024/08/24
kagetrasama-aoi(葵・橘)
37
「耳袋秘帖シリーズ・殺人事件シリーズ」第七巻。新宿で起きたヤクザの抗争をメインにした話。謎解きよりも、若かりし頃の松浦静山が登場して、興味津々!「耳袋」も「甲子夜話」も読んだことないんですが、読みたくなります。陸尺が他家の駕籠と競争して大名が駕籠から放り出された話にはちょっと微苦笑。ヤクザの抗争の裏には一家惨殺の復讐が隠されていました。それに鑑みての、現代で言う情状酌量、根岸さまのお裁きは将にそれなんですよね。雪乃さんが身籠ったことがわかり、栗田さんは嬉し泣き!で、坂巻さんは?2024/06/12
み
27
坂巻さん、フラれキャラ確定ですね…。あたしは、坂巻さん好きですよ、お奉行さまの次に。お奉行さまの奥深さ素敵です。2016/06/17
Tadashi Tanohata
20
台風接近のこんな蒸し暑い日でも、まったく苦にならない。前回は、喉ごしの良い蕎麦に例えましたが、間違いない。私にとっての「耳袋秘帖」は最高の読後感を与えてくれるシリーズだ。大岡越前なにするものぞ。水戸黄門なにするものぞ。2017/08/07
うずら
15
耳袋秘帖その7・事件シリーズ第7弾。カステイラはわかるけど、カスドースって何だろう?根岸様にちょっぴり対抗心あり気な松浦壱岐守と、ふざけているのか真面目なのかわからない定信様が面白い。山椒魚の黒焼きは、その後どうしたのだろう?栗田はどうやら、幸せ街道まっしぐらな模様。微妙に女運が悪い坂巻は、もうこのまま不憫路線でいいんじゃないかと思ってしまった(笑)2014/04/11