内容説明
白井は操縦席の後ろで両足を踏ん張りながら、各機の進撃を見つめていた。八機の陸攻は、彼が事前に通達しておいた取り決めにより、太陽の方向に回り込む形で敵艦隊に突入している。敵戦闘機の存在を考慮しない戦術であったが、いまさら臆するわけにはいかない。白井は思った。―せめて、敵艦隊に照準を合わすまで、全機無事でいてくれ!だが、彼の願いは、ほとんど祈りに近いものだった。敵戦闘機の迎撃は、白井中隊が爆撃コースに入る以前からすでに開始されていたからだ。「敵機、来ます!距離五〇〇から七〇〇!」「全機、対空射撃開始!」見張り員の報告に、すかさず白井が命じる。次ぎの瞬間、編隊を組む八機の九六式陸攻から、接近する敵戦闘機に向けて何本もの火線が延びる。
著者等紹介
内田弘樹[ウチダヒロキ]
1980年愛知県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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maddroid02
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真珠湾をやったのだから今度はインド洋をなんとかしないといけない。大きなフィクションとしてはドイツによるソ連撃破がある。それにしても、陸軍と海軍の管轄違いがあるとは言え、これで何とかなると思ってるあたり中東の某国ばりのいけいけどんどんだったんじゃないかと。きれいな戦争たる決戦主義を最後まで維持できるのか、がちょっとはらはらする。相手の同調があってこそだし。2014/10/10
Meistersinger
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ハワイ占領で和平交渉に持ち込めるというのも、結構バクチ2009/06/07