出版社内容情報
その時、徳川家康17歳、織田信長14歳、長宗我部元親22歳。戦国時代のリアルな戦いの姿を描く、傑作歴史小説集。
内容説明
土佐国の豪族・長宗我部家の唯一の悩みは嫡男・弥三郎(のちの長宗我部元親)だった。軟弱者で「姫若子」と綽名された若者が、22歳にして臨んだ初陣とは?(「百足椀」)そのほか、織田信長、徳川家康、蒲生氏郷ら名だたる武将たちの初々しき出陣から無名の兵の壮絶な戦闘まで、戦国時代の人々の戦いの姿を、名手がリアルに描く傑作歴史小説集。
著者等紹介
東郷隆[トウゴウリュウ]
1951年神奈川県横浜市生まれ。国学院大学卒業。同大学博物館学研究助手、編集者を経て作家に。94年に『大砲松』で第15回吉川英治文学新人賞を受賞。2004年『狙うて候銃豪村田経芳の生涯』で第23回新田次郎文学賞を受賞。12年『本朝田冑奇談』で第六回舟橋聖一文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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如水
22
その名の通り戦国武将の初陣に関する物語です。が、武将の初陣だけでは無く、合戦に対して初めて参加した雑兵の描写等も描かれてます(朝鮮出兵や第二次国府台合戦等)。面白かったのは『還俗初陣』=第二次国府台合戦と『板垣信方の馬』=上田原合戦かなぁ。還俗初陣は合戦模様と経過が、板垣信方の馬は『老害』になっちゃった説を取り上げた話です。出来ればこの説が本当で無かった事を願います。後『修羅の励み』。龍造寺内の話ですが・・・いたたまれない。僕の中の龍造寺隆信像が崩壊しました(汗)。2017/10/24
おひゃべりのナオ@【花飛】ヤオイは三月の異名にあらず
15
やっぱ定吉七番の方が……2015/12/30
YONDA
14
題名そのままで、有名どころの武将から無名の軍夫までの初陣に関する短編集。9話の中では表題にもなっている「初陣物語」が一番面白かったかな。老武将が経験から語る戦の話は、聞いてる小姓達と同様に、話にグイグイ引き込まれる。大阪の陣以降は戦が無くなってしまうから、桶狭間や関ヶ原の話を聞いたらたまらんかったろうね。そして、初陣では介添え役が非常に重要であると言うことを知った。2017/05/17
yamakujira
4
「大浜焼き」「百足椀」「嫁取り功名」「高麗討ち」「還俗初陣」「三州寺部城」「修羅の励み」「板垣信形の馬」「初陣物語」の9編は、表題作だけでなく、どれも初陣の様子をえがいた短編集。織田信長、長宗我部元親、蒲生氏郷と著名な武将の話が続いた後は、名も知らぬ兵卒の初陣を通して戦国時代の非情な運命を見る。せっかく重用されてるのに背く太田康資に共感できないのも、板垣信形の慢心を笑えるのも、歴史の行方を知っているからだろうな。隆信に逆らえない鑑種の悲哀からは、過酷な戦国時代を生き抜く苦労が伝わる。 (★★★☆☆)2017/10/10
北之庄
4
戦国武士達の、初陣に焦点を当てた短編集の本作。それぞれがググッと読ませる作品。特に有明の鷹と畏怖された龍造寺隆信が、酒色に溺れ心身とも弛緩し、肥前の熊と成り果てた後の、与力や家臣への狂気の沙汰には暗澹たる気持ちとなる。後年、家臣の鍋島氏にとって代わられるのも止むなしとの思いであります。 けっこう細かい描写が多い本作、エイエイオーの鬨の声は、蒲生領では「良い、良い、おーう」、島津領では「宜い、おーう」との表現でした。先日TVで林修先生は勝鬨橋の話題の折に「鋭、鋭、応」って仰ってました。色々あるんですねぇ。2016/05/28