出版社内容情報
エリート銀行員による妻子殺害を発端に明らかになる犯罪の連鎖――犯人の「真相」を探る傑作ミステリー。驚愕のラストに震撼!
内容説明
エリート銀行員の仁藤俊実が、「本が増えて家が手狭になった」という理由で妻子を殺害。小説家の「私」は事件をノンフィクションにまとめるべく取材を始めた。「いい人」と評される仁藤だが、過去に遡るとその周辺で、不審死を遂げた人物が他にもいることが判明し…。戦慄のラストに驚愕必至!ミステリーの常識を超えた衝撃作、待望の文庫化。
著者等紹介
貫井徳郎[ヌクイトクロウ]
1968年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。93年、第4回鮎川哲也賞最終候補作の『慟哭』で作家デビュー。2010年、『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ろくせい@やまもとかねよし
409
言い表しにくい読後感。満たされていない訳でもないが、ある種の焦燥感が共存するのか。解説は人間関係が希薄な現代社会の表現とあったが全く共感できず、普遍的な人間意識を考察したとても興味深い作品だった。妻と3歳の娘を殺害した夫。自白した殺人動機は怨念や激憤に無関係で理解不能な内容。主人公の作家がこの事件を取材していく物語。他者を本当に理解する困難が本書の主題か。自己の意識を本当に理解できるのはその自己のみ。意識の理性や本性に他者と共有する普遍性など存在し得ないならば、凶行に至る動機など理解不可能なのだろう。2019/09/13
青乃108号
313
確かに、人には自分でない人の本当の姿はわからない。それはそうだが、その事をラストで突きつけて「ミステリーの常識を破った驚愕のラスト」などとあおる紹介文はどうかと思う。300ページ近く読まされたあげく、この結末に納得できなかったのは俺だけではあるまい。確かに最初からその様なただし書きは書いてあったけど、まさか本当にこれで終わりとは。2023/12/04
三代目 びあだいまおう
278
川で妻子を喪ったエリート銀行員の仁藤。常に微笑みを携え、穏和で容姿も優れ誰からも好かれている彼が意外にも犯人として捕まった。周りの評判の良さと残虐な犯罪とのギャップに深く興味を示した小説家が自身のノンフィクション作品のために仁藤を凶悪犯罪に駆り立てたルーツを探る。すると次々と仁藤の過去周辺で謎の死の影が!共通するのは不可解すぎる動機。そんなことで人は人を殺すのか?すっきり収まるストーリーではない!現代人への問掛けであり警鐘か?信じられない、普通じゃない、あり得ない、そんな動機はいくらでもあるんだと‼️🙇2019/02/24
hit4papa
223
理不尽な理由で妻子を殺害した男の物語です。本作品は、仁藤俊美が妻の翔子と3歳の娘 亜美菜を溺死させた事件、通称 安治川を追うジャーナリストの視点で展開します。仁藤が語る妻子殺害の動機は、「本を置くのに邪魔だから」。弁護士も困惑するこの言が俄かに信じられないジャーナリストは、真実がどこにあるのか、関係者のインタビューから明らかにしようとします。仁藤の証言は、カミュ『異邦人』の殺人を犯したムルソーの有名なセリフ「太陽が眩しかったから」を思い起こさせます。果たして、本作品の仁藤は何を思ったのでしょうか?2020/07/06
mmts(マミタス)
175
大変申し訳ありません。実は途中下車した。つまるところ、挫折した。読了をあっさり諦めた。フィクションにノンフィクションを詰め込んでいるパターンだった。個人的には一番、苦手なストーリー展開。かなり難読だった。読了したメンバーや読書家を尊敬する。兎に角、私には合わない。いや、貫井徳郎さんには罪はないかと。貫井徳郎さん、サスペンスやミステリーが得意らしい。他は面白いかな?一応、ラストはネタバレしているウェブサイトを確認した。引き込まれる動機だと思った。けど、ラストは尻切れトンボだから何だかガッカリした。2017/10/31