内容説明
低迷が続くニューヨーク・メッツのゼネラルマネージャー(GM)に、日本人の高岡脩二が大抜擢された。出塁率を重視する“スモール・ベースボール”で好発進したメッツを迎え撃つのは、高岡のかつての師で、アトランタ・ブレーブスの老練GMアーノルド・ウィーバー。グラウンドの裏側でチームを率いる対照的な二人のBOSS、その熱い駆け引きの行方を描く傑作長編。
著者等紹介
堂場瞬一[ドウバシュンイチ]
1963年生まれ。青山学院大学国際政治経済学部卒業。2000年『8年』で第13回小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。警察小説とスポーツ小説の両ジャンルを軸に、意欲的に多数の作品を発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
394
かなり王道な展開で読んでいて熱くなるのも確かだが、1シーズンをあの頁数でやろうとすると、尺が短すぎて展開がとんとん拍子になりすぎてしまったように感じる。選手の引き抜きやトレードなんかの描写はまさに人間がゲームの駒のよう。メッツの浮き沈み具合も実況中継のような淡泊さでちょっと入り込みづらい。GM2名も因縁や確執が薄いので対決の様子もどこか牧歌的。こう書くとつまらないように思われるかもしれないが、それでもそこそこ以上に面白いのは作者の筆力なのだろう。同じような舞台でもう一作書いて欲しいところ。2017/11/23
あすなろ
110
日本人の大リーグ・ゼネラルマネージャー。職業としてセレクトしたメジャーリーグでのある意味トップ。そこでどう立ち振る舞い、信条を貫き、チームを勝たせるか。世界でもトップ級のスポーツ・ショーで通用するか?とても興味を持ち読了。堂場氏は、それを流麗な筆致で描く。的確に心情を描きながら。珍しい題材を愉しませて頂きました。でも、なんであろうと、最後は人の心を読み、掌握することなんだろう。2016/04/02
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
101
堂場さんのスポーツ物は面白い。人気球団ニューヨークメッツのGMに抜擢された日本人高岡。彼が目指す野球はデータ重視のスモールベースボール。一方で対極となるのはこの道50年の大ベテランMLBの裏も表も知るウィーバー。かつての上司と部下が長いシーズンで競い合う。もちろん勝つことは重要だけど、単に勝てば良いってものでもない。典型的な設定と展開ではあるけれど、組織を率いる難しさという物を改めて考えさせられた。高岡のモデルはアスレチックスのGMビリー・ビーンなんだろうか?★★★+2021/04/17
ユザキ部長
89
BOOSはメジャーリーグ球団代表のGM。監督が表舞台の顔だとしたら影の主催者。日本人GMとしてニューヨークメッツで辣腕を奮う高岡の堕ちっぷりが辛い。選手にとって不本意なコンバート、トレード、マイナー落ち。チームを勝たせる為の手腕、歯車が噛み合わない。それでも予定不調和な野球。なる様にしかならない事に気がついた。お天気や風向きは誰にも解らない。2016/12/04
Shintaro
89
一気読みの面白さでした。チーム・シリーズに勝るとも劣らない、チームが青春ならBOSSは大人向けのコーヒーみたい。冒頭からメッツとブレーブスの死闘を暗示し、勝手にワクワクしてしまう。ウィーバーがアメリカ人っぽくて、またいいんだ。メジャーでも日本人がだいぶ活躍してますが、チーム編成をあずかるGMが活躍しているのはまだ聞いたことない。7月からはトレードもなく、下から上げるだけで、あとは監督任せという隔靴掻痒感がいいですね。野球の女神は、自ら助く者だけを助く。堂場さんの野球愛に包まれて、祝福されてみませんか。2016/05/29