内容説明
ペルシア戦争で勝利をおさめ、民主制とパルテノン神殿の完成によって、アテナイが栄華を極めた紀元前五世紀。都市国家の未来に希望を託し、究極の美を追求した市民の情熱と欲望を活写する傑作ギリシア歴史小説。
著者等紹介
柳広司[ヤナギコウジ]
1967年三重県生まれ。2001年3月に『黄金の灰』(原書房)でデビュー。同年5月、『贋作「坊っちゃん」殺人事件』(朝日新聞社)で第12回朝日新人文学賞を受賞
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感想・レビュー
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Nak34
24
紀元前500年前後のギリシャ。民主制政治と一部の支配者が主導するか専制政治との駆け引き。一貫して、哲学的な話との印象。矛盾や不条理を示す秀作。一つの事象には多面性があり、関連のない複数の事象の真理は一つであったり。多数からなる民意が決して正しいわけでなく、でも、専制独裁支配は受け入れる事はできない。さあ、あなたは、何が正しいと判断しますか?ジョーカーゲームと同じ作者とは思えない、まだ、若々しさの残る作品でした。2010/10/28
takaya
19
古代ギリシャで、パルテノン神殿が作られるにいたった歴史、パルテノン神殿の画期的新しさが書かれています。美術が好きな人にはもちろん、そうでない人にも興味の持てる内容だと思います。柳氏の古代ギリシャ小説は、古代ギリシャ文化の入門として楽しめます。2019/02/22
miroku
16
古代ギリシア人が息づいている。これは、最高に面白かった♪2010/10/20
もぐ
10
図書館本。柳広司氏の初読本。読み切るのに忍耐が必要だった。読み終わった今、内容を振り返ると面白く感じるのだが、、いや何度、諦めようと思ったことか。 ギリシャにペルシャ帝国が侵攻した紀元前480年前後のギリシャを描く歴史小説。現在のパルテノンがコージに見せる白昼夢。デルフォイの巫女の操る知恵と情報と金と神の気まぐれ。アテナイに生きた類稀なる政治家と建築家、生み出された民主主義とパルテノン。各パート毎には楽しめた。2022/12/28
ひみ
10
古代ギリシアの3つのお話。デルポイの老巫女・アリストニケ。ペルシア戦争の英雄・テミストクレス。パルテノンの創造者フェイディアスと幼なじみでアテナイ民主制の主導者ペリクレス。はじめの文でぐぐっと世界に引き込まれ、あとがきで今に戻ってきた感じがしました。あたかも翻訳した文章のような言い回しも、雰囲気があって良かったです。やっぱり好きだ、柳さん!2017/08/16