内容説明
交通事故で愛妻を失った大学講師が、入手したある作家の未発表手記。失意を乗り越えるためにも、そこに書かれていた自殺の真相に迫ろうと、隠された真実を追いかけていくが、いつしか男の身にも降りかかってくる災厄。そこには恐ろしい悪意が満ちていた…。二転三転する物語の結末は?著者渾身の力作。
著者等紹介
貫井徳郎[ヌクイトクロウ]
1968年東京都生まれ。1933年『慟哭』でデビュー。丹念に計算された構成、大胆なトリックで、現代社会の病巣に端を発する事件を描き、明快な推理で読み解くミステリーが注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鈴
14
個人的にはかなりタイムリーな内容だった。主人公が職を失うかもしれないところは今の私とぴったり当てはまり他人事ではなく、心底胸が痛んだ。手記も旧仮名遣いにもかかわらず読みやすく、佐脇に好感が持て、自殺しないでくれ~~と思うほどだった。なのに、真相がイマイチ(>_<)ラストはちょっと泣けたけど。2012/03/05
DEXTERITY
8
この人の不幸は、信頼関係を築けるほどの時間を、結婚生活において持てなかったことかな。それはまぁ、実際に過ごしてみなければ分からない時間であり、一概にどちらとは言えないけれど。松嶋先生、いい人なのかもしれないけど、うっかりすぎます。少し苛々するんだけれど、この長さを、ぐいぐい読ませてしまう筆致はさすがです。2014/06/24
takaC
8
とても長い話なのだが、読み応え十分。貫井ワールドにおいては異色作。2008/03/19
ホレイシア
7
終戦直後に書かれたとされる佐脇の手記、よく書いたなぁ。旧仮名遣いで文章を書くのって結構大変だと思う。主人公と佐脇、両方に仕掛けられた罠を追っていくのは楽しかった。最後もきちんと後味の悪さが残って、貫井作品でした。満足。2011/12/10
桂 渓位
5
タイトルが『悪意』でも、充分に成り立つそんな一冊でした。 この首謀者は、自らの行為を一点の曇りもなく悪いと思っていない。その辺りに、底知れぬ怖さを感じてしまいました。2018/05/12