内容説明
中国では、なぜ抗日をテーマにした映画・ドラマが製作されつづけるのか?戦中のプロパガンダ作品から、現在の娯楽作品まで。80年におよぶ、抗日映画(抗日ドラマ)の歴史から見えてくるもの―
目次
第1章 蒋介石時代の抗日映画―一九三二~四九年(曖昧な日本批判;戦中の抗日プロパガンダ;戦後の偏った戦争表象)
第2章 毛沢東時代の抗日映画―一九四九~七六年(建国初期の過酷な戦争表現;「抗日ゲリラもの」の隆盛;文革中の屈折した日本人像)
第3章 改革開放後の抗日映画(日中蜜月期とアンビヴァレントな日本のイメージ;高度経済成長期と抗日映画の娯楽大作化)
第4章 テレビ時代の抗日ドラマ(近年、抗日ドラマが多くつくられた理由;『水戸黄門』のような世界;歴史のエンターテインメント化;歴史認識をめぐる葛藤;勝者としての自己表象;抗日ドラマの英雄像;日中関係を映す鏡;抗日ドラマの行方)
著者等紹介
劉文兵[リュウブンペイ]
東京大学大学院学術研究員、早稲田大学ほか非常勤講師。1967年、中国山東省生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学(表象文化論)博士課程修了。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おかむら
31
中国の人は抗日ドラマや映画を見て育ってるから反日感情が根強い、みたいなイメージでしたが、初期のプロパガンダから今のエンタメまでの作品の変遷がすごく面白かった! へえーっ。最近のドラマはもう「水戸黄門」のようなもんらしいです。勧善懲悪単純痛快劇。悪役がお代官様じゃなくて日本兵なだけで。しかもワイヤーアクションやCGも。ちょっと見てみたい。向こうのことをなんやかんや言う前に日本の映画ドラマも日本軍の悪行三昧を描いたものなどほぼ無いってことを忘れちゃいかん。「自己愛的な物語を内向きに消費」は両国同じ、だと。2016/09/29
たねひ
12
少し前にネットで中国の荒唐無稽な抗日ドラマが話題になっていたけど、本書では戦時中の記録映画からトンデモ抗日ドラマに至るまでの歴史が時代背景などと関連させながらまとめられている。残虐な日本兵は出てくるが、被害者意識を掻き立てるような作品よりも美男美女のスパイやカンフーの達人(笑)が活躍する話が多いということや、近年の抗日ドラマは当局の指示で作られたわけではなく中国のテレビドラマ業界(物凄い過当競争らしい)の一時的な流行だったなど、イメージと違っていたところもあり、外から見ただけでは分からないんだなと感じる。2019/11/05
MAT-TUN
10
抗日ドラマが80年の歴史があるとは。最近、中国政府は行き過ぎた抗日ドラマを規制するというニュースがあったのと、「抗日奇侠」というドラマを見て爆笑したので(映画「少林サッカー」的な面白さ(笑))、本書を購入。中国の国歌「義勇軍行進曲」は1935年に制作された抗日映画の主題歌だったのですね。著者の劉文兵氏は、中国の抗日ドラマは日本の水戸黄門的な位置づけであり、リアルな歴史として見ている人は30人中1人。18人が娯楽として見ているそうな。面白そうだから、もっと観てみよう(笑)2013/10/29
ののまる
5
抗日映画は、もはや、現代では視聴者のニーズに合わせた水戸黄門のような娯楽になっている。ただ、それが中国社会に及ぼす潜在的な影響は侮れないけれど。2014/05/28
GEO(ジオ)
4
抗日ドラマや映画が戦前から作られていたこと、そして中には実際に戦闘があった直後の戦場で撮影された作品があったというのには驚き。2013/12/09