内容説明
最晩年まで改稿をつづけた主著、フランクル思想の集大成。臨床哲学の古典『死と愛』(1957)の最終エディション。それでも人生は願う、あなたに、生きてほしいと。
目次
第1章 精神療法からロゴセラピーへ(精神分析と個人心理学;実存的空虚感と精神因性神経症;心理学主義の克服 ほか)
第2章 精神分析から実存分析へ(一般的実存分析;特殊実存分析)
第3章 心理的告白から医師による魂への配慮へ(医師による魂への配慮と聖職者による魂への配慮;操作的関係と対峙的出会い;共通項という実存分析の技法 ほか)
総括
補遺 人格についての十命題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
20
フランクルの著書『それでも人生にイエスと言う』を補強する一冊。大戦中に強制収容所に囚われ家族の生命を奪われた彼は、それでも人生にイエスと言った。そうした思想信条は、強さは何処から生まれたのか。実存的世界を構築するための方法。どんなに打ちのめされようが、それでも人生を、それを取り巻く世界を肯定できる強さに気づける(手に入れられるとは言わない)方法。生きる意味。愛の意味。自分の存在の意味。全ての人間が悩み続ける命題の答えに至れるかもしれないヒントがここにはある。2019/09/07
柳瀬敬二
13
ロゴセラピーを扱った本だが、中身は『それでも人生にイエスと言う』を理論的に膨らませたものが中心。実存的空虚感を原因とする心身の病に対して、ロゴセラピーを通じて患者が新しく実存的世界観を構築できるように助力する方法についても詳しく触れられている。フランクルは「人間」という存在を、意味を志向する存在であり、また過剰と感じられるほどに高次の存在と定義するが、人間として生きていない、あるいは生きることが極めて難しい環境にいる人々があまりにも大勢いるという事実をどう受け止めればいいのだろうか。2015/12/29
ざっく
11
この本は圧倒的に深い故に、理解できる部分は多くなく、筆者が伝えたいことと自分が受け取ったことがずれているかもしれない。自己超越、快楽、欲求、幸福、認知科学など最近の自分の興味が詰まっていた。生きる意味は与えられるものではなく、行動によって生きる意味を示していく、というのが一番大きな主張だと思う。「快楽を追い求めれば追い求めるほど、同時にすでにそれをとらえそこなうのである。」「人間は、幸福であるための根拠をもつことを欲しているのである」じゃあ、どうすれば良いのか、というところまで自分の中で落とし込みたいな。2021/11/26
モッタ
10
★★★★★ 実存的精神療法とても必要なアプローチだ。ただ、「人間とは何か」という問いには、普遍的な本質存在を考えていくことも大切だ。2013/02/25
KAZUKI
8
病にも根本的に何か理由があり、精神的要因によって引き起こされている。 そのことに早く気がつくことが大切なことである。 それが分かれば更にこの世の中に起こっている問題において全てのことに解決に繋がるきっかけになるとこの本を読み感じました。 ただし、内容が深くて難解なものも含まれる為、文章の内容を理解出来なければ、読んでもわからないと自分は思います。 人間の存在は責任存在であるという自己理解。 人生それ自身が人間に問いを立てているのである。 それを自身の心に刻んでいつかその問いに答える日を迎えればいいですね2014/10/25