内容説明
バルト海からライン川へ、北海からアルプス山脈へ。近代市民社会の礎を築いた北方ヨーロッパのゲルマン系諸言語。錯綜したその言語世界の成り立ちを解きほぐし、明快な展望を与える、最新・最高のゲルマン語入門。
目次
第1章 ゲルマン語の起源と古ゲルマン諸語(ゲルマン語の生い立ち―言語の系統関係;古ゲルマン語の仲間たち―分類と発達 ほか)
第2章 歴史的に探るゲルマン語の特徴(祖語の似顔絵を描いてみる(音韻変化のしくみ;語形変化のしくみ))
第3章 現代ゲルマン諸語概説(現代ゲルマン語の仲間たち―「言語」と「方言」を分けるもの;北ゲルマン語の仲間たち―スカンジナヴィア本国と離島の言語 ほか)
第4章 現代ゲルマン諸語の文字と発音(北ゲルマン語―その共通性と独自性;西ゲルマン語―英語・ドイツ語・オランダ語式正書法とその背景)
第5章 図書案内―さらに詳しく知るために
著者等紹介
清水誠[シミズマコト]
1958年横浜市生まれ、静岡県に育つ。東京大学文学部卒、同大学院修士課程修了。東京大学教養学部助手、千葉大学教養部専任講師をへて、現在、北海道大学大学院文学研究科教授。専攻はドイツ語学・ゲルマン語学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サアベドラ
9
ゲルマン語学の入門書。似たコンセプトの河崎靖『ゲルマン語学への招待』よりも専門的。音韻論中心で、最初から最後まで音の話ばっかり出てくる。形態論と統辞論が好きな自分にはちょっとつらいところがあったけど、手持ちの知識を総動員してなんとか読み切った。著者は現行のゲルマン語のカナ表記に不満があるようで、「慣用表記は○○だけど、こっちの表記のほうが原音に近い」といった感じのコメントがたくさん出てくる。一番面白かったのは強変化動詞の音組織の解説。勉強中のアイスランド語でも重要なところなので興味深く読んだ。2013/02/03
Koning
5
三省堂のスラヴ語入門、ロマンス語入門に続く印欧語族の中の大グループ解説。全2冊と違い現代語に関しての簡易分解説はなく、本文中で一部人名の読み方が示される程度なので、それを期待してるとちょっと肩透かしを食らった気分になる。現代語に関しては公用語として認められたものだけになるので、低地ドイツ語(ザクセン語など)は方言として軽く触れられておしまい。この辺目当てだったのでだいぶがっかり(笑)。グリムの法則やヴェアナーの法則、アスペクトからテンスへとか音韻や文法に関しての変化の歴史は簡潔にまとまっているので(続く)2012/08/10
takao
4
ゲルマン人の源郷は北ドイツからスカンジナヴィア南部にかけての一帯だった。2024/05/24
Fumitaka
4
同じシリーズの『スラヴ語入門』に比べると緻密に音の変化を追ってくださっている。たとえばthink, thank, throwが無声音でthe, then, thanとかは有声(p. 65)とかは、俺もいつも疑問に感じるにもかかわらず、発音の強弱に法則性があることにはこれまで気がつかなかった。このページは英語のofがvの発音であることやドイツ語のNervenとnervösの音の違いなども触れられておりわかりやすい。日本の義務教育の英語でこういうところも教えてくれたらもう少し英語も面白くなるのではないか。2022/12/29
宵子
2
姉妹本にロマンス語版とスラヴ語がある。 東ゴート語について調べたくて読んでみたが、あまりなかった。 ゲルマン語について現代使われている言葉から死語まで広く説明しており、専門的な言葉も多い。ただし、私はゲルマン語が殆ど分からないので、音韻や形態について言われてもあまり分からなかったが。2013/08/19