感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Z
5
60年代の本。著者はフランスのアナーキスト。内容はアナーキズムの解説とその歴史。マルクスよりもバクーニンやプルードンに対する評価が高い。プロレタリア独裁なしに、国家なしに社会を回そうとした人々の試みを振り返る。ウクライナやスペインなどで短い間成立したことが書かれたり、社会についてはコミューンが、経済に関しては評議会が取り纏める等書かれても、いまいちぴんとこない。ただ国家を残して革命しても結局独裁政治に帰結する歴史の流れの例は豊富に書かれ、無支配主義とも言われる、人々の自主的な行動に信頼をおくアナーキズムの2021/07/24
Saiid al-Halawi
3
現代と言いつつ結果的にはアナキズム思想史概観になってる。ほぼ直線的に走り抜けるので、バクーニンの先見的言説と、本書終盤スペイン内戦時の自主管理の部分的成功が一際すごく見える。2014/04/22
あかふく
2
ふつうに「アナキズム」という語を聞いた時に思い起こされる破壊的、暴力的なイメージをアナキズムの実際の理論を解説することで取り去ろうという本書は、またそれゆえ良きアナキズム入門書となっている。たしかに破壊的な思想の人物もいたが、彼らはおよそ追随者であって、プルードン、バクーニン、スチルネルらの実際のテキストを読み解いていくと、そこには政府など権力に対抗する形でいかに社会を作るかという個人の自由の尊重の姿勢が現れている。次はウドコック『アナキズム』全二巻にいくのがよいだろうか。2013/12/25