内容説明
敵か味方か、嘘か真実か、善か悪か―!?金の匂いに敏感な男女が、裏切りあい、騙しあいながら“今”を駆け抜ける!
著者等紹介
吉田修一[ヨシダシュウイチ]
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。97年「最後の息子」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2002年『パレード』で山本周五郎賞、「パーク・ライフ」で芥川賞、07年『悪人』で毎日出版文化賞と大佛次郎賞、10年『横道世之介』で柴田錬三郎賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
545
旬はちと外したが、雪のための休校を活かして一気読み。産業スパイである主人公鷹野と部下・田岡の掛け合いの妙味、プノンペン、ロンドン、東京、etcとクルクル設定を変えながらも、読者を置いてけぼりにしない手法。きな臭い権力者たちのドラマかと思えば、虐待され愛情を受けられない子どもたちにもスポットを当ててみたりして、最後はきちんと全部の風呂敷が畳まれる仕組み。修一さま、天才だわ。2019/02/13
starbro
392
吉田修一は、新作中心に読んでいる作家です。AN通信シリーズ第3弾、世界を股にかけたウォータービジネスでした。AN通信のスケール、グレードが、かなりレベルアップしました。まだまだシリーズは続きそうですが、今後どういう展開になるのでしょうか?2018/06/20
海猫
323
これ単体でも十分読める作品とは思うけれども、特に「森は知っている」の後日談的な立ち位置が強い内容。なのでその点でもいろいろと感慨深い。タイムリーでリアルな舞台背景を作った上でのシビアな謀略戦。場面の切り替えやテンポが程よい感じ。とりわけ終盤の畳み込むような展開は、なかなかに読ませる。2018/08/13
ウッディ
273
ダム爆破から始まる水道事業の民営化の利権をめぐる国際的な争いを描いた小説。神出鬼没、ハッキングやピッキングはお手の物、産業スパイってMIPのような超人集団なんですね。ある時は敵、ある時は味方、美人で聡明なアヤコは、まるでルパン三世の峰不二子のようで、リアリティは置いといて、冒険要素満載のファンタジーでした。痛快などんでん返しが鮮やかだっただけに、AN通信の暴露をどう収拾したのかなど、回収が雑な面もあったような。コロナの感染防止で、手洗いが見直される今、水の大切さを考えさせらる一冊でもありました。2020/05/30
しんたろー
244
今回もサスペンス&アクション映画を観ているような緊迫感でグイグイ読めた。鷹野を始め、田岡・アヤコ・キム・風間らオールキャストが躍動するさまはワクワクするし、騙し騙され敵味方が二転三転する展開も楽しい♪リーの正体は早い段階で勘づいてしまったが、面白さを損なうものではなく「だよね~!」とニンマリした。ダムの責任をリーが感じていないのかとか、真司の改心の描写がないとか、突っ込みどころも多々あるが、荒唐無稽なのも本作の魅力なので私としては許容範囲。鷹野が35歳を過ぎて生き方の選択を迫られる物語を次作で読みたい♪2018/09/30