出版社内容情報
地下牢に囚われた女、頭の中の機械、名前のない敵……不穏な精神状態と幻想が交錯する心象風景を実験的な文体で鮮烈に描いた作品集。
異国の地で城の地下牢に囚われた薔薇のあざをもつ女。名前も顔も知らないがこの世界のどこかに存在する絶対の敵。いつ終わるとも知れぬ長い裁判。頭の中の機械。精神病療養所のテラスで人形劇めいた場面を演じる患者たち――孤独な生の断片をつらねたこの短篇集には、傷つき病んだ精神の痛切な叫びがうずまいている。自身の入院体験にもとづく表題作はじめ、出口なしの閉塞感と絶対の孤独、謎と不条理に満ちた、作家アンナ・カヴァンの誕生を告げる最初の傑作。
母斑(あざ)/上の世界へ/敵/変容する家/鳥/不満の表明/いまひとつの失敗/召喚
/夜に/不愉快な警告/頭の中の機械/アサイラム・ピース/終わりはもうそこに/終わ
りはない
内容説明
異国の地で城の地下牢に囚われた女。名前も顔も知らないがこの世界のどこかに存在する絶対の敵。いつ終わるとも知れぬ長い裁判。頭の中の機械。精神病療養所のテラスで人形劇めいた場面を演じる人々―孤独な生の断片をつらねたこの短篇集には、傷つき病んだ精神の痛切な叫びがうずまいている。自身の入院体験にもとづく表題作はじめ、出口なしの閉塞感と絶対の孤独、謎と不条理に満ちた、作家アンナ・カヴァンの誕生を告げる最初の傑作。
著者等紹介
カヴァン,アンナ[カヴァン,アンナ][Kavan,Anna]
1901年4月10日、フランスのカンヌ生まれ。両親はイギリス人。旧姓ヘレン・エミリー・ウッズ。結婚してヘレン・ファーガソンに、その後離婚・再婚を経てヘレン・エドモンズになる。幼い頃から不安定な精神状態にあり、最初の結婚生活が破綻した頃からヘロインを常用するようになる。1929年に最初の小説を発表し、作家としてのスタートを切るが、その後も何度も深刻なメンタル・ブレークダウンに陥り、自殺未遂を繰り返す。『アサイラム・ピース』(40)からアンナ・カヴァンと改名、それまでの作品とは大きく異なったカフカ的な不安と幻想を描いた作品を発表するようになる。終末のヴィジョンに満ちた長編『氷』(67)が大きな注目を集めた翌年、1968年12月5日にロンドンの自宅で死んでいるのが発見された
山田和子[ヤマダカズコ]
1951年、北九州市生まれ。慶應義塾大学文学部中退。元『季刊NW‐SF』誌編集長。翻訳家・編集者。長く科学技術関係の編集に携わり、この分野でも訳書がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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miyu
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