出版社内容情報
義賊鼠小僧次郎吉の痛快な活躍に、江戸の人々は大喝采。芥川龍之介と菊池寛の傑作短編と鈴木金二郎編「絵入り実記」で活写する。
盗むだけなら、単なる盗賊(ルビ:ぬすっと)。警固の厳しい大名・武家屋敷に忍び込み、命がけで盗んだ金銭を、貧しい人々におしげもなくそっと渡す。これが義賊鼠小僧次郎吉の真骨頂!
鼠小僧は江戸後期の文化文政期に活躍。盗んだ金は総額三〇〇〇両以上。
三六歳で捕まり、千住の小塚原で処刑され、死後に講談・歌舞伎で大人気を博す。
芥川龍之介と菊池寛の短編、鈴木金二郎編の絵入り実記の三篇で、義賊鼠小僧の活躍を活写する。
内容説明
盗むだけなら、単なる盗人…義賊とは弱きを助く者。その真骨頂を芥川龍之介、菊池寛、鈴木金次郎が綴る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gummo
9
武家屋敷を専門に荒らし、盗んだ金を貧乏人に配った義賊とされる鼠小僧次郎吉(1797-1832)のアンソロジー。芥川龍之介著『鼠小僧次郎吉』、菊池寛著『鼠小僧外伝』、鈴木金次郎編『絵本鼠小僧実記』の3篇を収録。どれも面白いが、中でも菊池寛の短編が秀逸。鼠小僧はどちらかというと脇役で、自分の心根の卑しさが世間に知られることを恐れる大名の心の葛藤がメインテーマとなっている。大名はその葛藤の解決を、ある日屋敷に忍び込んだ鼠小僧に託すのだが…。これは、大名にとっては悲劇、その他の者にとっては大いなる喜劇である。2013/06/18
入江
2
ラジオ文芸館にて聴了。テンポはよく、心地よい。が、バレバレではある。2013/12/17
月夜
2
林家正蔵が 「江戸の様子が香り立つような 素晴らしい文章」 と 勧めていたことで 手にとった。特に 芥川龍之介の文である。短いけれども 流石に無駄のない テンポで次郎吉を通し江戸の様子を描き出す。 ほかに 鈴木金次郎 のものも収録されているが これは次郎吉の物語全部で 彼に興味のない私には ちょっと長すぎて 文章としても 特に面白みはない。2013/09/12
龍子
0
時代物が苦手な人でもすらすらと読める。菊池寛はさすが。草葉の陰で泣いている。「センテンススプリングス」どこへ行く?2016/03/10
maruna
0
最近、テレビで時代劇を見るのに凝っていて、その中で度々登場する「鼠小僧」がお気に入りになっていたので読んでみました。鼠小僧に興味津々だったので三作品とも楽しんで読むことができました。鮮やかに盗みを働きつつ、テンポよく話が進んでいくので面白かったです。妙術を扱う人まで出てきたのにはちょっと笑ってしまいました。2013/10/16