出版社内容情報
『宝島』の作者として名高いスティーヴンソンの絶妙な短篇4篇を収録。タヒチに伝わる超自然的な話を換骨奪胎した表題作に、死んだ魔女を侍女にした牧師の戦慄譚「ねじれ首のジャネット」他。
著者紹介
スティーヴンスン (スティーヴンスン)
1850-1894。英国の小説家。主な作品に「ジキル博士とハイド氏」「宝島」がある。
高松雄一 (タカマツユウイチ)
1929年生まれ。駒澤大学教授。主要著訳書に『シェイクスピア「恋人の嘆き」とその周辺』、ジョイス『ダブリン市民』同『ユリシーズ』等がある。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
内島菫
25
「声たちの島」と「壜の小鬼」はハワイが舞台で、悪魔のような存在(一方は魔術師他方は魔法の壜)から主人公の男女が逃れようとする部分が共通する。 翻って欧州が舞台の「マーカイム」と「ねじれ首のジャネット」は、主人公と悪魔の対決といえようか。いずれにしても、善と悪の二項対立のふうでありながら、善と悪は一つのものの二重性としてダブり、螺旋を描く。どの話も最終的には善側に落ち着くように見えながら、実はそれで本当にいいのかはっきりしていないのは、悪が消えたわけではないからだろう。「2018/07/10
藤月はな(灯れ松明の火)
16
南国の呪術や霊魂と生者の存在性を取り入れた怪奇短篇集。恒川光太郎さんの和色カラーを塗り替えた新境地とも言えた「南の子供が夜いくところ」はもしかしたらこの小説たちも影響していると思うのはうがちすぎか。2012/12/04
みつ
12
『バベルの図書館』シリーズ第17巻。4編を収める。舞台がハワイの2編は、魔術的な状況を描きながら、金銭と密接に絡み合うのが興味を引く。『声たちの島』は汽船が定期的に訪れる(p19)時代、ドル銀貨を生み出す(p25)巨大化した魔術師が登場する。『壜の小鬼』は、願ったことを何でも実現させる小鬼の話。ただし死ぬまでにその壜を他人に譲らないと死後は永遠に地獄に堕ちるという、一見宗教的な題材の寓話。譲る時の条件が各国の貨幣制度を反映するのは珍しい。物語の最後は、生死観に対する一種のニヒリズムで結ばれる。2021/12/27
オフィス派の宇宙図
1
声が聞こえた、魔術師の声だ。魔術師が貝殻を集めて金に変えている!魔術師をやっつけるにはやはり人食い族に限る。行け!人食い族!君に決めた!人食い族が木を倒して魔術師をやっつけるぞ!!!!!!2016/09/22
timeturner
1
魔法と悪魔が活躍する話ばかりではあるけれど、結局スティーヴンソンが描いたのは人間そのものだったんだと思う。2012/12/20