光文社新書<br> 死体は今日も泣いている―日本の「死因」はウソだらけ

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光文社新書
死体は今日も泣いている―日本の「死因」はウソだらけ

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  • サイズ 新書判/ページ数 214p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334038335
  • NDC分類 498.94
  • Cコード C0247

内容説明

病死に見えて事故死かもしれない。自殺に見せかけた他殺かもしれない。急増する危険ドラッグや過労が原因の死かもしれない。それなのに日本では、犯罪性が疑われる多くの死体が、解剖されることなく荼毘に付されている。ずさんな検視による犯罪見逃しや冤罪も後を絶たない。また、まかり通る「死因のウソ」は、私たち生きている人間に悪影響を及ぼす。伝染病の発見が遅れ、虐待も見逃され、補償金や生命保険料の支払額にも誤りが生じる―。解剖、CT検査、DNA鑑定、組織鑑定など法医学者の仕事に迫りつつ、知られざる社会問題をあぶり出す

目次

第1章 検死はこうして行われる(法医学者は何を見ているのか;死体が教えてくれること;あっさりと下された「病死」診断が招いた、連続殺人―首都圏連続不審死・婚活詐欺(木嶋佳苗)事件)
第2章 死因は誰が決めるのか(「検死」と「検視」はどう違う?;1枚の書類が死因を変える)
第3章 あぶなすぎる検死・検視の現状(「とりあえず心不全にしてしまえ」―21人の死者を生んだパロマガス湯沸かし器事件;CTだけでは出血源を判断できず、外傷を見逃す―肝臓がん破裂の「病死」にされた男性;アザだらけの遺体は、「通常の稽古で亡くなった」もの?―時津風部屋力士暴行死事件)
第4章 先進諸国があきれる日本の死因究明制度(日本の死因究明システムは“ガラパゴス”;先進諸国はこんなにすごい)
第5章 情報開示と遺族感情をめぐる課題(死者の尊厳と遺族の気持ちの問題;犯罪や冤罪の見逃しの問題;被災地での身元確認、そして)

著者等紹介

岩瀬博太郎[イワセヒロタロウ]
1967年千葉県生まれ。千葉大学大学院教授、解剖医。東京大学医学部卒業、同大学法医学教室を経て2003年より現職。14年より東京大学法医学講座も兼務。日本法医学会理事。内閣府「死因究明等推進計画検討会」委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まる

40
ドラマや小説でなんとなく聞いたことはあるもののよく知らない法医学の世界。日本ではほとんど解剖されないと聞いたことがあったんですが、本当だったんだな、と。法医学の現状を知ることができました。何だかこれなら殺人を犯してもバレないんじゃないかと思ってしまいます。災害時の解剖の必要性については考えたこともなかったのですが、確かにその通りだと。今後に役立てるために必要ですよね。日本も法医学者の待遇が改善され、正しい死因を究明することでこれからに生かせる社会になることを願います。2016/12/30

リキヨシオ

19
犯罪性ありと判断された死体を解剖して医学的見地から死因究明する現役の法医学者により、ガラパゴス化した検視制度が述べられる1冊。警察に届け出がある死者は1年間で17万人…そのうち解剖されるのが2万人…15万人は死因が不明のまま葬られて、犯罪見逃しや冤罪も発生している。先進国の中でも解剖される割合は低いらしく、法医学者の数や解剖はの予算が少ない。検視によって犯罪性の有無を判犯罪を見逃されるケースも多いという。デンタルチャート、指紋、DNA鑑定が身元確認のための3種の神器。東京と地方では死因究明格差が存在する。2015/05/19

showgunn

18
法医学の理念から始まり、具体例を上げながら、法医学者の仕事や日本の状況と海外と比較しての問題点などをわかりやすく、熱のこもった文章で書いた良書。 単に日本の状況を批判しているのではなく、自分の仕事が今よりも公益に資する為には何をどう改善すべきかをしっかりと考えている著者の姿勢に胸を打たれる。 ネットに上がっているインタビューで「解剖をやって死因が分かって、それでようやくこの人が成仏できると思うんです。いつも一緒に戦っているような気持ちで、解剖をしています」と語っていて、安易な言葉になってしまうが感動した。2016/11/16

おおにし

18
日本が検視制度では後進国である理由は、儒教の基本思想の1つである「徳治主義」にあるという指摘は興味深い。おかみは徳が高く、いつも正しいので「おまえが犯人だ」と言えは、犯人の方もおかみに諭されてすっかり白状するという「自白文化」なので、異状死体があってもしっかり死因究明をする制度が立ち遅れたのだそうだ。一方西洋は性悪説を基本とした法治主義の立場で検視制度が発達したという。分類がとても怪しい死因統計を改善するためにも、後を絶たない冤罪をなくすためにも日本の検視制度の抜本的見直しが必要だ。2015/02/21

eirianda

15
日本の異状死の死因は、かなりいい加減。初動捜査で解剖もせず犯罪性の有無を決めるのは、先進国ではないらしい。もしかしたら、多くの犯罪が心不全とか溺死とか、法医学を学んでいない町医者が死因を書き、面倒だと思った警察官が犯罪性なしと判断して、見逃がされているのかも。やたら多い自殺も、他殺の可能性あり。争いごとを好まない優しき日本人、の実体は闇(色々妄想広がる)。システムを整えるのはもちろん、日本人の精神性にも問題あり。問題をとことん解明せずなしくずし。システム構築できず。性善説が本当にいいのか?2017/08/11

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