内容説明
私たち人間がやっている行動や、築いてきた社会・文明によって生じた物事は、ほとんど昆虫が先にやっている。狩猟採集、農業、牧畜、建築、そして戦争から奴隷制、共生まで、彼らはあらゆることを先取りしてきた。特に面白いのは繁殖行動。相手と出会うため、あの手この手を使い、贈り物、同性愛、貞操帯、子殺し、クローン増殖と何でもアリだ。どうしても下に見がちな私たちの思考を覆す、小さな生物のあっぱれな生き方を気鋭の研究者が大公開!
目次
第1章 どうしてこんなに多様なのか(昆虫の多様性;昆虫ってなに? ほか)
第2章 たくみな暮らし(収穫する;狩る ほか)
第3章 社会生活(社会生活を営む昆虫;狩猟採集のくらし ほか)
第4章 ヒトとの関わり(ヒトの作り出した昆虫;昆虫による感染症 ほか)
著者等紹介
丸山宗利[マルヤマムネトシ]
1974年生まれ。博士(農学)。九州大学総合研究博物館助教。北海道大学大学院農学研究科博士課程を修了。国立科学博物館、フィールド自然史博物館(シカゴ)研究員を経て、2008年より現職。アリやシロアリと共生する昆虫の多様性解明が専門であり、アジアではその第一人者である。毎年精力的に国内外での昆虫調査を実施し、数々の新種を発見、多数の論文を発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 5件/全5件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
447
すこぶる面白い。とってもよくわかる。トピックスの立て方が上手いので、おもわず引き込まれる。語りからも著者の昆虫に向かう情熱と、誠実そうな人柄が伝わってくる。最初から最後まで昆虫世界の多様さと不思議さに圧倒されっぱなしである。唯一の欠点は、途中の写真が(多数あり)モノクロームのために時として鮮明度を欠くこと。本当は全ページをカラーにしたかったのだろうけれど、そうすると頒価が上がってしまうので、やむなくといった事情なのだろうと思う。もちろん、その欠点を補って余りある著作。昆虫に興味がある人も、これまでは⇒2023/02/28
鉄之助
375
「ヒトがやっていることは、たいてい昆虫が先にやっているという事実」が、ふんだんに書かれてあった。やっぱり 昆虫はすごい! と思わせる1冊。昆虫の世界に人間社会を見たり、人間は本能に支配されているに過ぎない、とあらためて思った。アギトアリのあごは、時速230キロの速さ(なんと開業当時の新幹線と同じスピード)で閉じて獲物を捕食。狩りバチは、毒針で麻酔をかけて獲物を仮死状態にしたまま鮮度を保ちながら幼虫の餌にする…などなど、誰かに語って自慢したいネタの宝庫だった。2024/06/19
mitei
299
昆虫のすごさ面白さが伝わった。何よりも新書のスタイルで虫について縦横無尽に語られていてこの1冊で昆虫の基礎が分かるようになっているので勉強になった。2015/03/08
ゆいまある
125
ツイッターでフォローしてる丸山先生の話題の本。アリの社会性については香川大学の伊藤先生も監修してくれてるらしい。まあタイトルそのままの感想になるんだが、地球というのは人類が生まれるずっと前から昆虫のものである。植物と昆虫が作り上げた世界に我々は間借りしてるに過ぎない。都市部の知人が地方に行くと虫が出たと大騒ぎするが、そんな時だけ私は大威張りで「これだから街の子は」と鼻で笑う。どの虫も面白いが、カマドウマをゾンビ化させて水辺に連れて行くハリガネムシが一番気に入った。寄生する虫面白い。2019/08/30
小木ハム
114
『人間がしていることのほとんどは、昆虫が先にやっている』奴隷狩り、自爆テロ、キノコ栽培、空調完備の建築、牧畜、結婚詐欺、中身空っぽのプレゼント、貞操帯を付けさせる、同性愛、ニート、モノマネ。もう終始半笑いで読了。本能に従って生きる昆虫たちに″学び″、″真似″をする人間もまた、本能に従っているのかもしれない。昆虫、スゲー!!写真がわさわさ載ってるので、人の多い場所で読むのは若干抵抗アリ。2017/07/04