内容説明
人生を乗り越える33話。柳田邦男、撮り下ろし「雲の写真」収録。
目次
1 自分を見つめる(絶望という転機;自己肯定感を持てない時 ほか)
2 心を癒す(心で見る、手を握る;祈りをこめたおむすび ほか)
3 グリーフケア(人は物語らないとわからない;喪っても人生を肯定する道 ほか)
4 人生の出発点(六十点からの出発;「何とかなるべさ」 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪月花
52
著者があとがきで書かれているように、この本は「心のハンドブック」だと思う。絶望の淵にいる時、大切な人を失った時、自分の力ではどうしようもない厳しい現実にぶち当たった時、本書を読むと少しでも心の重しが軽くなるような気がするのは、25歳だった息子さんを自死という形で亡くされた著者の経験からにじみ出た言葉が綴られているからだろう。悲しみはそう簡単には癒えない。一生消えることのない悲しみもある。だが、それでも人生を肯定して歩むためのヒントをこの本は与えてくれるように思う。挿入された著者の空の写真にもホッとする。2022/02/25
タピオカ
34
70年以上生きて来た人生を振り返り、支えになった出会いや考え方を集めた心のハンドブック。合間に挿入された雲の写真や両手におさまるサイズもよく堅苦しくなく読める。「仕方なかんべさ」「何とかなるべさ」は母のポジティブな人生観。2019/09/28
KEI
34
読友さんのコメントに惹かれて図書館本。生きていれば山あり谷ありで、時には耐え難いほど辛かったり悲しい時がある。著者自身が得たヒントは響くものが多かった。特に自分の人生を1つの物語として客観的に捉え、今の章は「苦難」なら次の章は「夜明け」になる筈だと、苦しさにジタバタする自分を見つめる、もう一人の自分を感じる事が出来れば、いつしか乗り越える事が出来ると説く。著者の母親の口癖、「仕方なかんべさ」「何とかなるべさ」は有るがままを受け入れつつ、ポジティブに生きる言葉だと思う。著者が撮影した空の写真が良い。2016/11/19
団塊シニア
30
作者の思いが詰まった33話、どの話も情景やその人の表情、心の機微までもみえる文章、特に「小さな傲慢の深い影」は苦悩する人に寄り添う時の大切なことが丁寧に描写されており自分自身反省するための視点になるほど心に残った。2018/06/02
*
19
物事には多くの場合二面性がある。孤独になったとしても、それは人生の大切な時間である▼「心が揺さぶられた瞬間は、決して消えることのない永遠性のあるものなのだ」(P.85)悲しい別れがあったとしても、「感動が消えてしまった」と思い込んで執着しなくていい。出会えたことは無駄ではなく、そうした瞬間の積み重ねが内面を豊かにしていく。2018/12/03