乱視読者の新冒険

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乱視読者の新冒険

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  • サイズ B6判/ページ数 355,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784327376925
  • NDC分類 901.3
  • Cコード C0098

出版社内容情報

乱視読者、一段とパワーアップ((第55回読売文学賞[随筆・紀行賞]受賞!)して、新たな冒険へ!

 小説を読むのは、つねに冒険である。通勤電車で吊革につかまっていても、湯船につかっていても、便器にまたがっていても、寝床の中でも、本のページを開くだけで、わたしたちは見たことのない場所に移動できる。会ったことのない人物にめぐりあえる。たった一度の人生では体験できないような、無数の生を生きること。それはどんなにささやかなふるまいであっても、冒険の名に値するものだ。(若島正)

著者紹介/著者による他の著作等
若島 正(わかしま ただし)
 1952年、京都市生まれ。英米文学専攻。1975年、京都大学理学部卒業。1980年、同文学部卒業。1982年、同大学院文学研究科修士課程修了。現在、京都大学大学院文学研究科教授。著書に、『乱視読者の英米短篇講義』(研究社 、2003年、第55回読売文学賞[随筆・紀行賞]受賞)、『乱視読者の帰還』(みすず書房、2001年)、『盤上のファンタジア』(河出書房新社、2001年)、『盤上のパラダイス』(三一書房、1988年)など、訳書に『ナボコフ=ウィルソン往復書簡』(共訳、作品社、2004年)、ウラジーミル・ナボコフ『透明な対象』(共訳、国書刊行会、2002年)、ウラジーミル・ナボコフ『ナボコフ短篇全集』(共訳、作品社、2001年

第I部 乱雑な本棚
 蛾の思想――『アンナ・カレーニナ』を読む/にゅるにゅるの話/音の粒
鉛筆が一本/穴の記憶、記憶の穴/青春の短篇小説あるいは短篇小説の青春
物語との旅――グレアム・グリーン追悼/グリーンと演劇的瞬間――『叔母との旅』公演に寄せて/ブラウン神父の犯罪――井上ひさし編『「ブラウン神父」ブック』/クリスティと麻雀の夕べ/戦後アメリカ小説の百冊/カーヴァーについて語るとき我々の語るべきこと/銀幕の裏側――ハリウッド小説の背信/幻想文学を読み解く十冊/世界の果てとハルキ・ワンダーランド/X氏を探して/書評の文体練習――ウンベルト・エーコ『エーコの文体練習』/カム・カム・エブリボディ――『フィネガンズ・ウェイク』を巡って/カメのための音楽
第II部 大学の迷い猫
 書物の森のなかへ/小春姐さんへの手紙/二十年後/新しい人よ眼ざめよ/教壇に死す/わたしの知ったこと
第III部 タイム・マシン文学史
 失われた町/未来の言語/見えない小説/不完全な機械/読みすぎた男/ゼロ時間へ/流れる歴史/消滅する部屋
第IV部 『ロリータ』の余白に
 失われた父ナボコフを求めて/デニス・ポッターと秘密の部屋/レム、ボルヘス、ナボコフ/

内容説明

乱視読者、一段とパワーアップ(読売文学賞受賞)して、新たな冒険へ!『乱視読者の英米短篇講義』(第55回読売文学賞随筆・紀行賞受賞)につづく待望の新刊。

目次

第1部 乱雑な本棚(蛾の思想―『アンナ・カレーニナ』を読む;にゅるにゅるの話 ほか)
第2部 大学の迷い猫(書物の森のなかへ;小春姐さんへの手紙 ほか)
第3部 タイム・マシン文学史(失われた町;未来の言語 ほか)
第4部 『ロリータ』の余白に(失われた父ナボコフを求めて;デニス・ポッターと秘密の部屋 ほか)
リチャード・カウパーのために

著者等紹介

若島正[ワカシマタダシ]
1952年、京都市生まれ。英米文学専攻。1975年、京都大学理学部卒業。1980年、同文学部卒業。1982年、同大学院文学研究科修士課程修了。現在、京都大学大学院文学研究科教授。著書に、『乱視読者の英米短篇講義』(研究社、2003年、第55回読売文学賞随筆・紀行賞受賞)などがある
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Tonex

27
(kindle版を読んだがこちらで登録。)翻訳小説についてのエッセイ集。2004年刊行。『乱視読者の冒険』(1993年)を大幅に改訂増補したもの。半分以上新作らしい。▼ナボコフ論の部分を中心に読んだが、「電子テキストと『ロリータ』」は目からウロコが300枚ほど落ちる面白さ。こんなほとんどの人が気づかないようなところに仕掛けをほどこすナボコフもナボコフだが、それに気づく著者も著者。素晴らしい。2016/02/19

Yusuke Oga

14
この素晴らしい本はいろんな人に向けて「新しい人よ眼ざめよ!」と呼びかけている本なのである。若島先生は昔、若い頃、ずっと数学者を目指していたが、その夢を諦め、挫折した。そんなとき、京都の本屋で、ふと、洋書のペーパーバックでピンチョンの『Ⅴ.』を手に取ったのだそうだ。ちょうど、それの著者であるこのわけのわからない名前の作家がその小説を書いた頃が、自分と同年齢ぐらいで、それで彼は気になった・・・という文章をどっかで読んだ気がするのだけど、本書にはなかった。いま僕は『Ⅴ.』を読んでいる。どうしても親しみを感じて2014/07/02

donut

7
もの凄い情報量の文学エッセイ集。遊び心に満ちた文章の数々に、小説を読むことの楽しさを改めて思い出させてもらった。ガルシア=マルケスの批評をガルシア=マルケスの文体でやるところとかも最高だが、やはり後半のロリータ論が白眉。リチャード・カウパーやB.S.ジョンソンといった忘れ去られようとしている作家達への愛にもしんみりとさせられる。「読書のたびに、わたしの自我は知らないうちに更新されていく。それは、知識を蓄えたり成熟したりするということとはまったく無縁だ。そこにはただ、不断の更新があるだけなのである。」2019/12/05

Ecriture

5
ナボコフのとこだけ。『フィネガンズ・ウェイク』からdollyとClareを抜いたところと、電子テキスト検索でピーター・クリストフスキイの為人を紐解いたところが圧巻。特に後者は、細部を忘れることのできない電子テキストが可能にした読みだと言えるが、その検索を行うきっかけとなったものはナボコフ読みの直感であり、電子テキスト時代の文学研究とは何かという大きな問題へとつながっている。若島さんをキンボートと見る向きはあるだろうが(もしくはLibraのNicholas Branch)、魅力的なのでそれも良し。2011/11/02

ykoji

4
「教壇に死す」が大変素晴らしいが、特に「単位綺譚」の素晴らしさといったらもう…。これを読んで、そうそう!大学にはこういう奴がいないと!って頷き頷き。しかし、若島さんの文章は本当に面白い。どうやったらこんなふうに面白く文学が読めるのかと頭を抱えてしまいます。2014/05/11

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