内容説明
雇用の不安定化と「無用感」、私的領域=プライヴァシーの消失、「無思考」という安楽―“政治”を成り立たせる条件が崩壊するとき、全体主義はくりかえし復活する。20世紀最大の思想家から21世紀への警鐘。
目次
第1章 時代の転換とアーレント
第2章 『人間の条件』と二〇世紀
第3章 「自分らしさ」と「私的所有」―個人の不安定化とプライヴァシー
第4章 労働・仕事・活動―マルクスと近代への批判
第5章 『人間の条件』に至る思索―『全体主義の起原』『カール・マルクスと西欧政治思想の伝統』『政治とは何か』
第6章 現代科学技術と『人間の条件』
著者等紹介
佐藤和夫[サトウカズオ]
1948年生まれ、千葉大学名誉教授(哲学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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樋口佳之
27
世界経済の運営の駒として人間が計算される限り、あるいは戦争の勝敗だけが関心になる限り、人間が人間と共に生きることとしての「政治」はあらわれない。/マルクスはこの二つの次元を「必然の領域」と「自由の領域」の区別として重要と考えてはいたが、もう一方で「労働」生産性の増大によって、まるで人びとが「社会的人類」として「自由」の実現へと直接に向かうかのように考えていたというのである。/アーレントの関心を、もっとも根本的に引き継いで提起しているのはイヴァン・イリイチ kindle 60%offにて2018/10/23
OT
1
私が政治だと思っていたことは、何ら政治ではなかったと衝撃の冒頭。何度も読み、著者に会い、味わうだけでなく「活動」の礎にして動くための本。2018/07/20