目次
秋の田のかりほの庵の苫をあらみ/わが衣手は露にぬれつつ
春過ぎて夏来にけらし白妙の/衣干すてふ天の香具山
あしびきの山鳥の尾のしだり尾の/ながながし夜をひとりかも寝む
田子の浦にうち出でて見れば白妙の/富士の高嶺に雪は降りつつ
奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の/声聞く時ぞ秋は悲しき
鵲の渡せる橋に置く霜の/白きを見れば夜ぞ更けにける
天の原ふりさけ見れば春日なる/三笠の山に出でし月かも
わが庵は都の辰巳しかぞ住む/世をうぢ山と人はいふなり
花の色はうつりにけりないたづらに/わが身世にふるながめせしまに
これやこの行くも帰るも別れては/知るも知らぬもあふ坂の関〔ほか〕
著者等紹介
渡部泰明[ワタナベヤスアキ]
1957年、東京生まれ。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は和歌文学、中世文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひらちゃん
41
ふむふむ。コレは手元に置いてゆっくり眺めたいかも。古人は美しい言葉を沢山持っているなぁ。2016/05/04
葉鳥
8
卒研の締めに読了。解説が短くまとまっていてスラスラと読める。挿絵に味わいがあって魅力的。2016/02/02
カミレ
6
文字が少ないのですらすら読めます。歌の作者の解説も少しついていて、日本史が頭に入っている人なら作者の人物相関などもわかって楽しいと思います。また歌の訳は、きっちり対訳というよりかは端々のニュアンスを拾っての意訳が多い気がしました。昔の人と言ってはいるけれど、悩んでいることや感じていることが、「そうそう、それ!」と感じるものがいくつかあり、うれしいというか、親近感が(笑)あとは、気が強い女性(だと感じる歌)がけっこういるのに驚きましたね。自分をしっかり持っているというか。見習いたいです。2015/02/05
Edo Valens
6
手軽に和歌を読んでみたいと思った僕にぴったりでした。一首毎に見開きを使って、和歌と現代語訳、解説と絵を付しています。百人一首らしい落ち着いた絵は理解を助けてくれるし、見てるだけでも楽しい。著者はこの分野が専門の学者のようです。解説も分かりやすい。文字数の限られた和歌だけれど、壮大な風景の歌もあれば切ない恋の歌もあり、短い文字数でこんな事ができるのだな、と感動しました。意外と秋の淋しさを表現した歌が多いのが興味深いです。「わびさび」でしょうか。作者も、天皇や貴族だけでなく僧侶もいるのが面白い。2014/11/27
ヨモギ
3
百人一首、いろんな著者のものを何度頑張って読んでも惚れた腫れたとかの歌はどうでもいいの極みで辛い。現代短歌も古の和歌も、暗くて辛気臭いのはごめんだわ。風景を詠んだ歌は美しく格調高くて好き。菅原のみっちー心から好き。2024/11/26