内容説明
『資本論』を共産主義から切り離し、同時に、『資本論』の世界を徹底的に一般化し、拡張している―『資本論』の発展的継承(一九七七年刊)の復刻。解題と論文を収録。
目次
現代社会の存立構造(現代社会の存立構造―物象化・物神化・自己疎外;疎外と内化の基礎理論―支配の論理と物象化の論理)
『現代社会の存立構造』を読む(『現代社会の存立構造』解題;『現代社会の存立構造』の行為事実を読む)
著者等紹介
真木悠介[マキユウスケ]
見田宗介。1937年東京都生まれ。東京大学名誉教授。現代社会論、比較社会学専攻。著書に、『定本 見田宗介著作集』(全10巻、2011‐12年、毎日出版文化賞)など
大澤真幸[オオサワマサチ]
1958年長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。社会学博士。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を歴任。著書に、『ナショナリズムの由来』(講談社、2007年、毎日出版文化賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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原玉幸子
13
偉そうに言えば、マルクスの功績のひとつである「産業資本主義」の仕組みが感覚的に理解している気になっているが故に、逆に、何故これ程迄に傍点強調も用語の置き換えも多い(読み難い!だから大澤真幸が解説する)のか、です。本書のキーワードは、その仕組みの中での「疎外」。それも「Aからの疎外」は「Aへの疎外」と説くところは、社会・経済学と言うより哲学と思うので、更に理解を深める為にも、大澤推奨の柄谷行人『マルクスの可能性の中心』を比較読みしてみようと思います。(◎2021年・秋)2021/08/06
たばかる
9
先日やっとこさ読了。2021/11/15
awe
7
『気流の鳴る音』に続き真木悠介の代表作を読む。やはり彼の著作は他とは次元の異なる知的興奮をもたらす。超大作なので2週間ほどかけてじっくり読んだのだが、十分に理解できたとは言えない。ただ、大澤真幸のすすめ通り、大澤による解題→真木の「存立構造」→大澤の発展論文の順に読んだので、本書の大まかな内容を掴むことはできたのではないかと思う。「存立構造」は、『資本論』の創造的読解という体をとるが、その射程は決して経済体制の分析に留まらない。むしろ、『資本論』から(真木が独自に)読み取った内容は、政治や文化の領域に2022/07/02
マウンテンゴリラ
2
真木悠介の著者名で執筆された本書、『現代社会の存立構造』は、マルクスの資本論の読み方を、現在にも通じる社会の根本問題に関わるものとして示した偉大な著作であった。我々一般人の資本論の受けとめかたは、経済学説という視点はおろか、そこから導き出される階級闘争の仕組みと共産主義への流れの必然性を説いたものという程度ではなかっただろうか。それを、物象化、疎外といった象徴的な言葉の深い分析を通して、資本主義から共産主義への短絡的な流れとしてでは無く、それらの区別、対立を超えた、現代社会の根本的な問題点として→(2)2023/10/07
Hisashi Tokunaga
2
見田宗介氏が逝去(2022・4/1))。真木というペンネームでの論考という事は東大の教師からいわば羽目を外す著作と云うこと。60年代の東大駒場人気助教だった時代を経て僅かの期間に著作された論文か?この時代の背景として、マルクスの原理論的論及が大きなテーマだった時代。経済学原論に対する社会学原論の意気込みか?ともかく大澤氏の長文の解説の方をまず読了した。真木氏の存立構造論本文は後日読むこととしよう。2022/05/16