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徳間文庫
月のしずく

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  • サイズ 文庫判/ページ数 363p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784198933739
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

お月見、しようか。おにいさん―付き合っていた男と喧嘩別れをし、怪我をおった美女をたまたま自宅に連れ帰り介抱した辰夫。女は翌日も居座り続けたのだ…。中学卒業後三十年近くコンビナートで荷役をし、酒を飲むことだけを楽しみにしている男に起きた青天の霹靂だった。癒しと再生を描く表題作他、浅田ワールドを満喫できる名品集。

著者等紹介

浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京都生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

優希

43
癒しと再生の優しい短編集でした。物語に浸っている時間が心地良かったです。2023/04/16

藤枝梅安

39
「情けない」人々を描いた短編集。浅田さんは、「がんばっているんだけど報われない人々」を次々と登場させ、人の世の厳しさを描き、その中で生きる人々の優しさ・温かさを浮き彫りにしている。浅田さんの小説は説教くさくないのが一番の美点。「人間って、頭じゃわかってるけど、その通りに行かないから悲しいけど面白いんだよね」という作者の視点は揺るぎがなく、読者は安心してその世界に身をゆだねることができる。なかでも「花や今宵」は二人の男女の哀しい虚勢を山里の桜が優しく包み込むような佳品である。 2012/07/13

aiaimo`olelo

30
浅田さんはサービス精神旺盛な作家なのだろう。どうやったら読者を泣かせることができるのか全力を挙げてくれているのが伝わってくる。そしてそれは、時には過剰なサービスとなる一面をも内包している。いきなり平手打ちをくらわしたり贈られた腕時計をなげつけたりする勝気な女。怒りを見せずどこまでも優しく尽くす男。鼻白む瞬間もあったが、本作は浅田さんの男としてのロマンが込められた短編集なのだろう。 おなかの子の命を救おうとした『月のしずく』、恋人を想い続けた『聖夜の肖像』、満州での記憶を辿る『琉璃想』でしっかり泣きました。2022/11/09

まえすとろ

21
秋の季節になると必ず読みたくなる「小説の大衆食堂」と自称する大人の寓話作家浅田次郎の綴る「女のエゴと男の包容力」をテーマにした7話からなる短編集。氾濫気味の「ベタベタ甘々な恋愛ストーリー」では語ることのできない、恋人、親子の情愛、後戻りはできない人生、孤独、不倫愛など、現代を生きる男女の世相を写す反面、願望に似た登場人物の立ち振る舞いと生き方に強く心を揺さぶられる。表題作の『月のしずく』は童謡の「里の秋」の元の詩を男と女のお話に置き換えた秋の十五夜の月も新たに映える秀作。浅田次郎の短編は外れることがない。2012/10/09

マッピー

12
7作の短編が収録されているが、とにかく女が鼻持ちならなく、男が情けない。理不尽を理不尽のまま受け入れるのは、強さの方向を間違えた自己満足なのでは?これでは女としても、態度を変えるきっかけを失ってしまう。唯一好きなのは「銀色の雨」。5人も人を殺しておきながら、「死ぬのは怖い」と言う章次。結局警察が迎えに来るまでに自殺することもかなわず、正座して待つという弱さと向かい合わせの潔さ。暴力団の中でしか生きられない男が、時代とともにそこからもはみ出してしまった哀しさ。そこがなんかいいなあと思いました。2021/01/14

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