出版社内容情報
津波に消えた家族の捜索が、原発事故のため進まない。悲しみと怒りに震える人々の前に東電の幹部が立った。慟哭のノンフィクション。
廣瀬 正樹[ヒロセ マサキ]
著・文・その他
内容説明
原発事故により立ち入りが制限される中、自力で行方不明の家族を捜し続ける―働哭のノンフィクション。―その時問われたのは「ひとりの人間として何をなすべきか」だった。
目次
強震
押し寄せた津波
家族の行方
バックミラー越しに見た「幸せ」
「人生が終わった」
娘を腕に抱いて
混乱
強制避難
捜索チラシ
緊迫〔ほか〕
著者等紹介
廣瀬正樹[ヒロセマサキ]
ノンフィクションライター・カメラマン。1984年生まれ、愛知県名古屋市出身。2007年法政大学社会学部卒業、日本テレビ入社。報道局にて社会部記者、カメラマン、ディレクターとして勤務。2018年5月、独立。『捜す人―津波と原発事故に襲われた浜辺で』が初めての著書となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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あっか
60
著者による魂のルポ。正直、読み始めるまで勇気が要りました。でも、語弊があるかもしれませんが読んで良かったし知れて良かった…行方不明のお子さんを捜し続ける2人の父の姿、東電の担当者や責任者の葛藤、伝える側の人…様々な立場の人のその時々の複雑な気持ちなどもありありと伝わってくるくらい、7年間を本当に緻密に取材されています。遠くにいるだけでは想像し切れない現実は日本人が知るべき義務だとすら感じるほど。わが家の次男も当時3歳の倖太郎君と同じくらい。上野さんの気持ち、倖太郎君のことを思うと涙が止まりません。2018/12/27
おかむら
34
津波で家族を亡くした2名の男性(南相馬市と大熊町)の7年間を追ったルポ。福島県の被害はどうしても原発事故がメインになってしまうけど、津波で行方不明になった家族を探すことも立入禁止地区で叶わないという遣る瀬無さ。家族を救えなかった自分への怒り、東電への怒りが時間とともに変化していく様が胸を打つ。東電側(副社長)にも取材。そしてあとがきにビックリ。ああ、副社長ってあの人かー。いやむしろ人間味が増したというか。2018/10/20
かめぴ
15
東京オリンピック…で浮かれている中でも尚元の暮らしに戻れない人がいるのが現実なんだろうなとこの国の弱者に冷たい在り方を噛み締める。地震・津波・原発で未曾有の事態をどう収拾するか、人間性が問われる。重たすぎるが眼を背けてはいけない、と強く思った。子どもがいる身としては本当に辛い。2019/01/20
コロ助☆
9
「捜索をやめたら、そこで可能性はゼロ。やめない限り、見つかる可能性はゼロじゃない」 絶対に我が子を見つけてあげたいという親心、執念。 「東電という会社や組織への怒りが変わることは、ない。だがその中にも、心を持った人間はいるのだと気づき始めた。『会社』と『人』とは、別物だ」 福島は原発事故の絡みもあり、退避を余儀なくされた事で、思うように捜索が出来ず、すぐに見つけてあげる事が出来なかったお父さんの気持ちを想うと、その辛さ、悔しさは計り知れない2021/02/24
Mirror
8
震災後を生きる1人1人が日々を精一杯生き、身の周りの人を大切にし感謝を伝えられる自分でありたい。2018/09/18