出版社内容情報
由起谷警部補が街で出会った子供は、チェチェン共和国から侵入してきた女性だけのテロリスト集団、『黒い未亡人』の一員だった……。日本SF大賞&吉川英治文学新人賞受賞シリーズの最新第4弾
内容説明
チェチェン紛争で家族を失った女だけのテロ組織『黒い未亡人』が日本に潜入した。公安部と合同で捜査に当たる特捜部は、未成年による自爆テロをも辞さぬ彼女達の戦法に翻弄される。一方、特捜部の城木理事官は実の兄・宗方亮太郎議員にある疑念を抱くが、それは政界と警察全体を揺るがす悪夢につながっていた―世界のエンタテインメントに新たな地平を拓く“至近未来”警察小説、衝撃と愛憎の第4弾。
著者等紹介
月村了衛[ツキムラリョウエ]
1963年生まれ。早稲田大学第一文学部文芸学科卒。1988年より脚本家として活動する。2010年に『機龍警察』で小説家デビュー。以後小説に専念し、2012年に『機龍警察 自爆条項』(いずれもハヤカワ文庫JA刊)で第33回日本SF大賞を受賞、2013年に『機龍警察 暗黒市場』(ハヤカワ・ミステリワールド刊)で第34回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サム・ミイラ
198
前作をはるかに上回る面白さだ。これは凄い。何かと悪役にされてきたチェチェンの実情を教えてくれる小説でもある。テロリストとなる理由。その不条理に胸が痛い。どこかジェノサイドや土漠の花を連想させる物語である。特に今回満を持して登場する龍機兵の戦闘描写が素晴らしい。走るトラックから飛び降り疾走するバーゲストに鳥肌。機体から降り立ちテロリストとナイフで闘う姿警部。そして伝説の戦士に素手で立ち向かうラードナー警部に興奮させられる事必至。甘さを排した展開とお涙ちょうだいにならぬ解決も好み。これは極上の一冊である。2017/09/10
おしゃべりメガネ
191
シリーズ4作目です。まさに「感無量」でした。SFジャンルな今シリーズも作品を重ねるごとに、壮大な人間ドラマも展開されるのが魅力ですが、今作は過去主人公扱いの3人(姿、ライザ、オズノフ)は少し控えめ(見せ場は十分にあります)ながら 、「テロ」を背景に‘母性’を全面に打ち出した内容はとにかく感動でした。1章が少し展開的にツラい感はありますが、2章からはお決まりの怒涛のイッキ読み必至です。特にファイナルの3章はまるで映画を観ているかのような感覚になります。過去、どの作品よりも重厚な内容にやっぱり「感無量」です。2014/05/18
しんたろー
183
特捜部の面々を詳しく描いて群像劇として俄然面白くなってきた。由起谷や城木を中心に「母」をテーマにした話は巧く、悲運な少女・カティアにも感情移入できた。チェチェン紛争が日本に飛び火した話も絵空事とは思えない怖さで惹き込まれたし、自分を含めて「無関心」の罪も思い知った。1&3章のアクションは手に汗握る名シーンとして見事だし、前作までの話を活かしたシリーズならではの展開で、素晴らしい完成度!難癖だがシーラと日菜子で愛憎の対比は判るが城木兄とシーラの対峙が省略されているのが惜しい…でも、最後の手紙には泣かされた!2018/11/12
KAZOO
166
このシリーズ第4作目です。私は第5作の短編集を先に読んでしまいましたが、あまり後先は関係なさそうでした。この未亡旅団というのも重い感じでしたが、エンターテイメントですね。このメンバーの過去の思いが常に付きまとう感じですね。由紀谷あるいは城木の家族との関係、また組織内部の暗闘などが緊密な感じで書かれていて息を抜かせません。警察の登場人物など映画化されたら、ああこの人かというようなイメージを髣髴させる人もいました。次を早く読みたいですね。2016/09/25
猿吉君
142
機龍警察4作目、世界のテロ紹介シリーズになりつつも登場人物の掘り下げが進む警察小説にハマっております。①ドラグーン搭乗者じゃない人がメイン、今後はこちらの方向性なのかな。②お兄さん元カノの為に暴走する必要性あったのか?③ユーリは誤解解けたのでもっと日本側と仲良くなって欲しい。④現場サイドの人の活躍が面白い、白鬼良いです。⑤「敵」の話が主軸になって欲しくない、内輪の揉め事にスケールダウンしてしまう。点数:80/100→ロボットは単なる兵器、こういう設定好きですがもうちょっとSF方向へ行って欲しいような。2020/10/30