出版社内容情報
〔第三回アガサ・クリスティー賞受賞作〕大学のゼミ仲間が冬の山荘に集まったとき、悲劇の幕が開く。たび重なる推理とどんでん返しの果てに、十五年の時を経て関係者たちが?んだ驚くべき真実。
内容説明
雪に閉ざされた山荘で、女子大生・弥生が毒殺された。容疑者は一緒に宿泊していた同じ大学のゼミ仲間4人―龍太、花帆、真佐人、圭。外の世界から切り離された密室状況で、同じ食事、同じ飲み物を分け合っていたはずなのに、犯人はどうやって弥生だけに毒を飲ませることができたのか。警察が到着するまで、残された4人は推理合戦を始める…。15年後、雪の降る夜。花帆と夫の営む喫茶店を訪れたのは、卒業以来、音信不通の龍太だった。あと数時間で時効を迎える弥生の事件は、未解決のまま花帆たちの人生に拭いきれない影を落としていた。だが、龍太はおもむろに告げる。「弥生を殺したのは俺だよ」たび重なる推理とどんでん返しの果てに明かされる驚愕の真相とは?第3回アガサ・クリスティー賞に輝く正統派本格ミステリ。
著者等紹介
三沢陽一[ミサワヨウイチ]
1980年、長野県岡谷市生まれ。東北大学大学院法学研究科修士課程修了。大学研究助手などの仕事をしながら、各種文学賞に投稿し、2013年『致死量未満の殺人』(『コンダクターを撃て』改題)で第3回アガサ・クリスティー賞を受賞し、デビューを飾る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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夜間飛行
93
「弥生を殺したのは俺だ」という出だしがすばらしく、時効成立二時間前の告白にぐいと引き込まれた。龍太の話の中で印象に残ったのは、信号待ちの弥生の横顔を様々なネオンが彩り、横断歩道上で手を握るとき黒い服に白い雪片が纏わりつく所だ。この場面があるため、直後に弥生の体の奥に雪の冷たさを感じる所が生きるし、殺害に用いるメチル水銀の白い粉が瓶の中でシャシャと音立てる描写もゾクッとさせる。この辺りは力量を感じたが、「魔性の女」という安易な言葉に寄りかかっているのは残念だった。トリックも偶然が重なり過ぎてすっきりしない。2014/04/04
ゆみきーにゃ
73
《図書館》全体的にう〜ん。あたしの勉強不足だろうけど難しい漢字が所々に出て来て読むのに苦戦したりと、とにかくう〜ん。。。2015/01/03
財布にジャック
63
ありがちなクローズドサークル物かとみくびってました。前半はそんな訳でちょっと退屈して斜め読みだったのが、後半の展開で一気に引き込まれました。久々にミステリーらしいミステリーと出合えて得した気分です。しかし、幾重にもどんでん返されたのは良いのですが、最後のどんでん返しだけは、どうにもこじつけっぽく感じてしまいました。でも、全体的には好印象です。2014/05/04
くろり - しろくろりちよ
58
第3回アガサ・クリスティー賞受賞作品、三沢陽一デビュー作。時効直前の殺人事件の真相を告白しに来た龍太。龍太の視点から、15年前日本法制史ゼミ生一行が雪に閉ざされた別荘で起こった殺人事件を追体験する。犯人の告白という倒叙形式で明らかになるはずだった事件はしかし、少しずつの歪から最後に驚愕の事実が明かされる。幾重にも張り巡らされた殺意と、舞台を整えた「指揮者」。毒殺という一点のみの凶器をここまで掘り下げる力に唸らされる。アガサ・クリスティー賞の真髄といえよう本格ミステリ。2014/03/02
papako
53
初読みの作家さん。面白かった。5人のうちの一人が毒殺された。その過去の毒殺を告白する一人。でも実は。。。殺されるひどい女の非道さ、殺意を抱く4人。動機は少し弱いかなぁと思ったら、そこを最後に強化する仕掛けが!とはいえ、告白から推理までは一気に読めたのですが、最後のこねくりまわされた理屈が少し蛇足かなと思いました。そこがないと動機の弱さの補強にならないのですが。でも読みやすく楽しめました。改題して正解だと思います。2014/08/10
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