内容説明
日本を守った名古屋のヒーロー御三家筆頭の殿様が江戸幕府の幕引き役となったのはなぜ?徳川慶勝撮影の写真をはじめ、貴重な史科を通して激動の時代を再現する。
目次
第1部 政治家徳川慶勝―日本近代化、陰の功労者(徳川慶勝の生涯;待ち望まれた殿様徳川慶勝;厳しき監督者慶勝の軍事教練 ほか)
第2部 殿様徳川慶勝―殿様らしい最後の殿様(特別対談・徳川慶勝の魅力―竹内誠×黒鉄ヒロシ;激動の幕末を投影した筆跡;芸術は殿様の必修科目 ほか)
第3部 写真家徳川慶勝―江戸の原風景をとらえた記録写真家(慶勝の写真術;慶勝が撮った戸山荘;慶勝がとらえた名古屋城の残照 ほか)
感想・レビュー
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小鈴
12
なぜ薩長は簡単に江戸に進軍でき、無血開城できたのか。それは尾張藩が東海道、中仙道沿いの諸藩だけでなく旗本や寺社も新政府につくように誓わせたからだ。これを勤王誘引と言い、忠誠の誓いを書類として残した。内戦によって国内が疲弊し外国につけいる隙をつくれば清の二の舞になる。徳川家を守ることより大切なものがある。御三家尾張藩の決断は日本の近代化を支えたといってよいだろう。リーダーとはどうあるべきか学ぶ面も多い。メモ魔、資料収集癖、維新前から写真を撮り、消え行く江戸の雰囲気や藩主の暮らす名古屋城内を多数撮影。2016/10/26
ダージリン
3
徳川慶勝のことはこれまで知らなかったが、過去に囚われず尾張が官軍側についたことが維新における混乱を最小限に抑えたとのこと。日本を内戦の混乱に陥れないための大局的な判断だったようだ。残した多くの写真は当時の記録として貴重なものではないか。江戸の街並みなどは興味深かった。2015/04/14