出版社内容情報
「読むなよ,絶対に読むなよ!」
ラッシャー木村の「こんばんは」に,なぜファンはズッコケたのか.ユーミンの名曲を,なぜ「恋人はサンタクロース」と勘違いしてしまうのか.日常にある言語学の話題を,ユーモアあふれる巧みな文章で綴る.著者の新たな境地,抱腹絶倒必至!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
176
言語学というと、少し遠い分野であるように思うが、川添さんの文章は、それをぐっと身近なものにしてくれる。述べられていることは、とても深いものがありながら、表現の力おいうか、文体の力で頭の中に映像が浮かぶ。言語は、毎日、使っているものであり、日々、変化していくもの。それでいて、どこか不変なものもある。だから、通じるのだろうと思う。ROUND1とあるので、続編が楽しみ。2021/11/01
trazom
166
「UP」に連載された文章16編。川添さんの文章は生き生きとしていて、本当に楽しい。お得意のプロレス・ネタや、松任谷由実の楽曲は「恋人がサンタクロース」か「恋人はサンタクロース」かなど、身近な話題を通じて言葉の本質に迫る。楽しみながら、意味と意図の違い、前提と含意の区別など、言語学の大切なことを学ぶことができる。編集者から「笑いを取りに行くときは遠慮せずに取りに行かないと、読んでいる方が恥ずかしくなるんですよね~」と注意されたらしいが、忠告を守った突っ込んだ面白さが川添さんの真骨頂。私はこの人の本が好きだ。2022/04/07
venturingbeyond
145
「東京大学出版会創立70周年記念出版」と帯にあるが、いいのか東大出版会。とはいえ同世代の著者ゆえ、全編で採り上げられるくすぐりネタ(特にプロレス・格闘技ネタ)は、STO先生(P27注ⅱにある通り、人文屋にとっては業界屈指のセメントレスラー!)とは違い、自分にとっては注釈なしでニヤリとするものばかり。言語学のレンジの広さを日常の中のたわいもない話題から読者に伝える芸はたいしたもの。アカデミズムをゆるく一般読者につなげる評判通りの好著でした。 2021/08/29
R
140
言語学の本だと思いきや、プロレスの雑学本だったようなお読み応えの内容だった。ネタ選び的に、自分と同年代か少し上のおっさんだなと思って読んだけど、年齢はそれくらいの女性というのに少なからず驚いてしまったんだが、巧みな言葉選びと話題選びで、言語というものを考えるきっかけや、考え方を披露しつつ、プロレス雑学を織り交ぜてくるエッセーで、楽しく読めました。得るものがプロレス知識しかなかったような気がするが、コミュニケーションに必要な能力や因子を分解解説する内容がよかった。2022/05/07
molysk
120
「押すなよ、絶対に押すなよ!」――上島氏の叫びを、人工知能は理解できるのか?言葉そのものが表す内容が「意味」、話し手が聞き手に伝えたい内容が「意図」。両者が一致しないとき、人工知能が抱える課題とは。ほかにも、あいさつ研究、相互知識、普遍文法といった言語学の様々な話題で、ポルトガル語で「何でもあり」を意味する「バーリ・トゥード」の名にふさわしい内容。敷居をぐっと下げるのが、筆者の軽妙な語り口で、不惑越えの世代は懐かしのネタ、中でもプロレスネタが満載。「バーリ・トゥード」は格闘技用語なんだそう。知らんがな。2021/10/31