出版社内容情報
村岡花子訳『赤毛のアン』でカットされた原文の謎をはじめ、英文学を楽しむポイントを講義。あらたに翻訳論を増補した決定版。
村岡花子の名訳『赤毛のアン』には,原文のある重要箇所がカットされている.その「なぜ」を追うことからみえてくる,「小説というくわだて」を構成するいくつかのカギ…….「アン」のほか,ホビット,ジェイン・エアなどを題材に,英文学を楽しむポイントを講義.翻訳論の「オマケ」を増補した決定版.
1 場面のポイントを読み取る――駅長はなぜ孤児を隠していないのか?
ロミオは実在の人物か?/漱石の創作メモ/彼は絶望していた?/作家のもくろみを読む/L・M・モンゴメリー/もらい手のなかった『赤毛のアン』/赤毛のアン登場/過剰なものは解釈を誘発する/駅長のはずむ心/careless は「不注意」か?/マシューと駅長のコントラスト
2 伝統を読み解く――主人公はなぜ「押し入り」なのか?
作家トールキンの誕生/中年ホビット卒倒す/いざ冒険の旅に!/その前に英語の冒険が……/「押し入り」にされたビルボ/作者と主人公の心理バトル/格式と冒険/イギリスでいちばん有名な「押し入り」/格式を破壊するもの
3 英語で遊ぶトールキン――ユーモアはファンタジーを破壊するか?
3匹のよたもの/ビルボのお料理自慢/英雄ビルボ/翻訳者の愛/暗闇のなぞなぞ合戦/ゴクリ、ゴラム、ゴルーム/ススススス/冗談みたい!/ユーモアは魔法を破壊する?/エッセイの宿題
4 『赤毛のアン』の謎――村岡花子はなぜ「マリラの告白」を訳さなかったのか?
孤児の物語/村岡花子と『赤毛のアン』/連作の短編小説集/『赤毛のアン』の謎/マリラの告白/マリラはどんな人物か/村岡マリラ/村岡マリラの告白/優しいマリラ
5 『アン・オブ・グリーン・ゲイブルズ』の謎
――モンゴメリーはなぜマリラの「告白」をカットしなかったのか?
日本における『アン』人気/英語でもこわいおばあさん?/マリラの「格式」と「冒険」/アンか教会か?/マリラが主人公!/「自己発見」のパターン/スクルージの大変貌/「善」とは何か?/マリラはなぜ「告白」するのか?
6 語り手の謎――語っているのはどんな人?
「鳩の穴」/肌に粟を生ず/ねえ、あなた……/3人称が語る?/「悪女」とは何か?/One Year Later/
一年ののち/語り手とは男か、女か?/感覚のアンテナ
7 さまざまな視点――笑うべきか泣くべきか、それが問題だ
紳士へのあこがれ/ジョー登場/ライナスの毛皮/コミック作家ディケンズ/あたくし、生まれも育ちも湿地です/ディケンズと視点の操作/ドラマテッティク・アイロニー/おもしろうて、やがて悲しき……/「目ざめ物語」の縮小コピー
8 名作と映画――映画はどこまで原作を裏切るか?
天の声? 人の声?/玉の輿に乗った孤児/4種類の映画バージョン/ジェイン! ジェイン! ジェイン!/現実か? 超現実か?/悩める映画監督たち
9 プロットを評価する――『ジェイン・エア』はオカルト小説家か?
内容説明
ホビットの「言葉遊び」、村岡訳「赤毛のアン」が原作から省いた一節などから、小説という技とシカケの宝箱を開ける、東大講義英文学の読み方入門。翻訳論のオマケつき!
目次
1 場面のポイントを読み取る―駅長はなぜ孤児を隠していないのか?
2 伝統を読み解く―主人公はなぜ「押し入り」なのか?
3 英語で遊ぶトールキン―ユーモアはファンタジーを破壊するか?
4 『赤毛のアン』の謎―村岡花子はなぜ「マリラの告白」を訳さなかったのか?
5 『アン・オブ・グリーン・ゲイブルズ』の謎―モンゴメリーはなぜ「マリラの告白」をカットしなかったのか?
6 語り手の謎―語っているのはどんな人?
7 さまざまな視点―笑うべきか泣くべきか、それが問題だ!
8 名作と映画―映画はどこまで原作を裏切るか?
9 プロットを評価する―『ジェイン・エア』はオカルト小説か?
おまけ 解釈から翻訳へ
著者等紹介
山本史郎[ヤマモトシロウ]
1954年生まれ、東京大学大学院総合文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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