内容説明
社会的な秩序はどうかたちづくられているのか。この問いに答えるべく、切磋琢磨した社会学者たち。かれらはどのような相貌をもって、この闘技場に姿を現したのか。歴史から現在へ、言葉の戦場をめぐるスリリングな社会学戦記。
目次
1章 アリアドネの糸―前史
2章 創始者の悲哀―コント
3章 思想の革命家―マルクスとエンゲルス
4章 少数者の運命―フロイト
5章 繊細な観察者―ジンメル
6章 社会の伝道師―デュルケーム
7章 自由の擁護者―ウェーバー
8章 野外の研究者―シカゴ学派
9章 冷徹な分析家―パーソンズ
10章 オデュッセウスの旅―マートン、シュッツ、ガーフィンケル、ゴッフマン、ベッカー
11章 シシュポスの石―ハーバーマス、ルーマン、フーコー、ブルデュー、バウマン
12章 ヤヌスの顔―福沢諭吉、柳田国男、高田保馬、鈴木栄太郎、清水幾太郎
著者等紹介
奥井智之[オクイトモユキ]
1958年奈良県に生まれる。1981年東京大学教養学部教養学科相関社会科学分科卒業。1988年東京大学大学院社会学研究科博士課程(社会学専攻)単位取得退学。現在、亜細亜大学経済学部教授。専攻は社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かんがく
14
大学時代に講義で学んだ諸学問で一番ピンとこなかったのが「社会学」。まずは専門の歴史から入ろうと思って手に取る。コントから始まり、社会学者ではないマルクス、フロイトに触れた後、デュルケーム、ジンメル、ウェーヴァー、パーソンズなどの社会学者について一章ずつさらっと解説していく。いわゆる雑談が多い。著者も認めているが、極めて曖昧な学問だなという感想。一つの学説が主流になることはなく、それを著者は「闘技場」と表現する。全体の概要は何となくわかったので、次は個別具体的な研究を一つ手に取ってみようと思う。2019/01/18
takizawa
8
奥井智之『社会学』の姉妹版。『社会学』が社会学の基本的なコンセプトについての概説だとすると,こちらは学説史メインで主要な学者・学派ごとに章が割かれている感じ。職業的な社会学者以外の人物についても詳細に説明している点(社会学は隣接領域から影響を受けている学問だし),個人史にも重点が置かれている点(執筆動機が掴めるかも)が特徴。2010/12/14
き
6
社会学史を社会学者の個人史とともに振り返る。社会学者がどのような人生を辿ったのかは、彼らの理論を理解する助けになる。これまで抽象的で難解な社会学からは逃げていたが、取り敢えずとっかかりを見つける為には良かった。新しい理論が次々と出現する社会学は、その学問的なルーツを理解しない事には、到底その理論自体を理解できない。学究は過去の偉人の肩の上に立つ事。そしてすぐにまた次の研究の礎になる事なのだ。2019/05/26
Mealla0v0
3
オーソドックスな社会学の教科書。2010年刊行にしては、扱っている最後の世代が1980-90年代のバウマンという意味では、ちょっと古いのかな、という印象は拭えない。ただし、最後の章に短いながらも日本社会学の歴史に触れている点は、評価できる(本当に短いけれど)。2021/12/01
レコバ
3
取っ付き易くする工夫が随所にあり一貫して平易な説明を通しているが、入門書に求められる多少の誤解を許容しても、アウトラインと流れを伝えるという方針はとられていない。文献一覧の末尾にある「万巻の書を読み千里の道を行く」の通り原書を読む取っ掛かりという位置付けだろうか。2014/05/18