出版社内容情報
人が人であるがゆえに持つ人権。その正当化の根拠とは何か。本書は、ロールズやベイツ、グリフィンらの議論を整理し、「自然本性的構想」と「政治的構想」との論争を詳細に分析。対立の本質を探り、人権論が向かうべき新たな方向性を示す。膨大な資料を駆使した、気鋭の研究者の先駆的研究。【第11回東京大学南原繁記念出版賞受賞作】
内容説明
人権はなぜ正当化されうるのか。ロールズ、ベイツ、グリフィンらの哲学的議論を検討し、人権論が向かうべき方向性と実践的な国際援助構想を提示する。第11回東京大学南原繁記念出版賞受賞作。
目次
人権の哲学:その文脈と2つの構想
政治的構想の主要理論は擁護されるか(ロールズの場合;ラズの場合;影響力ある諸議論の概括的検討)
自然本性的構想への批判に応答する―ベイツによる批判への応答
擁護されるべき自然本性的構想―二元論、一元論でも多元論でもなく
社会経済的権利は人権でありうるか
デモクラシーへの権利は人権でありうるか
人権と国際的関係
開発・援助構想に対する評価―人権の哲学による示唆を参照軸として
著者等紹介
木山幸輔[キヤマコウスケ]
1989年生れ。2011年3月早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。2013年3月東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。2017年3月同大学同大学院博士課程単位取得満期退学。現在、筑波大学人文社会系助教。博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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inu
2
前半は、ロールズ以降の政治/法哲学における人権の哲学の対立軸である政治的構想(ロールズ、ラズ等)と自然本性的構想(グリフィン)の対立について書かれており、政治的構想への批判から始まり、著者が擁護する自然本性的構想へと至る。後半は言わば応用編で、前半で提示された自然的構想に基づく人権からデモクラシーは人権と言えるかや、開発援助についてどのように評価できるかが書かれている。緻密な議論が積み重ねられており、一読しただけでは理解しきれていない。時間を置いてもう一度読み直したい。2023/03/07