出版社内容情報
「民族自決」を前提として国家建設をしたソ連,同じ社会主義国でありながら,「民族団結」を前提として国家建設をした中国.本書は両国の少数民族政策を比較し,両国の制度的な差異,そして国家そのものの差異を明らかにし,崩壊した国家・ソ連と存続した国家・中国の本質に迫る,気鋭の論考.
目次
中ソの差異はどこにあるのか
1 ソ連邦構成共和国の政治エリート集団(一九二〇年代の共和国政治エリート集団(一九二〇‐二九年)
集団化と経済再建の時期の共和国政治エリート集団(一九二九‐三七年)
大テロルと大祖国戦争の時期の共和国政治エリート集団(一九三七‐四五年))
2 中国少数民族自治区の政治エリート集団(国家建設期の自治区政治エリート集団(一九四九‐五六年)
反右派闘争と大躍進運動の時期の自治区政治エリート集団(一九五七‐六五年)
文革期の自治区政治エリート集団(一九六六‐七六年))
民族自決と民族団結
著者等紹介
熊倉潤[クマクラジュン]
1986年茨城県生まれ。東京大学文学部歴史文化学科東洋史専攻課程卒業。東京大学大学院法学政治学研究科総合法政専攻博士課程修了、博士(法学)。日本学術振興会海外特別研究員・台湾政治大学東亞研究所客座助理研究員を経て、現在、アジア経済研究所新領域研究センター研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
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ソ連と中国の少数民族政策の比較研究。ソ連の連邦構成共和国の一つであるカザフ共和国と中国の新疆ウイグル自治区を中心に、夫々の現地基幹民族による政治エリート集団の形成過程を分析。現地民族エリートを指導的地位に起用するソ連に対して、漢族の中核の周囲に少数民族エリートを配置すべきとする中国。同じ社会主義多民族国家にしてソ連が標榜した民族自決の原則と中国が唱道する民族団結の理念の差異を導き出す。◇中共党組織にはソ連共産党になかった統一戦線部があり、少数民族に対する統一戦線工作が中国側の特徴でもある。2021/02/27