出版社内容情報
冷戦期ソ連・東欧関係の実態をエネルギー危機に対するソ連・東欧諸国の対応から解明する.中近東の産油国をも含めたグローバルな視点からこの問題を検討することによって,新たな分析パラダイムを導入し,グローバルな冷戦史のなかにソ連・東欧を位置づける.
目次
序章 資源・エネルギー問題から見るソ連・コメコン関係
第1章 ソ連の対ドイツ経済政策と体制間競争の論理―スターリンからフルシチョフへ
第2章 コメコン経済改革の試みとその限界
第3章 ソ連の対イラン・アフガニスタン政策と天然ガス
第4章 イラク石油をめぐるコメコン協調の試み
第5章 石油危機への対応
第6章 資源超大国構想とその限界
終章 グローバルな資源・エネルギー史のなかのソ連・コメコン関係
著者等紹介
藤澤潤[フジサワジュン]
1982年新潟県新潟市生まれ。2004年東京大学文学部卒業。2014年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。早稲田大学ロシア研究所招聘研究員、国際医療福祉大学非常勤講師などを経て、神戸大学大学院人文学研究科特命講師。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
20
1949年1月、スターリンはソ連圏の経済関係を強化するため、ルーマニア、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、チェコスロバキアの東欧5ヵ国代表を集めコメコンを設立した。◆本書は主にエネルギー資源を巡り、ソ連指導部と経済機関及びコメコン諸国の間でどのような政策が協議され対外的にどのような対応がなされたのかを明らかにしている。80年代にソ連の原油の受給バランスが限界を迎える中、東欧諸国への原油供給量削減を巡るソ連内部での議論が興味深い。ブレジネフが死の直前まで資源超大国ソ連としての立場に拘った姿が特に印象的。2020/03/04
わび
3
6,70年代を中心に、ソ連・東欧諸国・中東産油国の三者間の資源を巡る協調と対立を描いた一冊。冷戦が体制間の全面的な競争となった時、東欧の重工業化を推進するために通常の帝国とは逆の構図となる、中央(=ソ連)が周縁(=東欧)に資源を供給することが要請されたことはとても興味深い。また、コメコン諸国間の対等的地位という建前が最後までソ連の改革案を阻み続けたという点もやや意外な感じがする。ハンガリー動乱やチェコ事件のようなソ連による強権的支配というイメージだけでは語れない、複雑な経済関係がそこには広がっているのだ。2019/04/08
ゆきんこ
0
天然資源の輸出入をめぐる先進国と発展途上国の逆転2021/07/06
どうろじ
0
戦勝者であり東欧の解放者であるソ連が最終的に東欧社会主義国の原料供給地に成り果てたというのはおもしろい話しに思う。2019/08/23