内容説明
大正時代の一時期、谷崎は映画という藝術表現に魅せられ、積極的に製作にもかかわっていた。映画、横浜、女優、白人女性、清らかな聖母、蠱惑的な悪女といったイメージがほとばしる「アヴェ・マリア」、「痴人の愛」の原型ともいえる「肉塊」のほか、戯曲「無明と愛染」、映画台本の「蛇性の婬」「雛祭の夜」などを収載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
訪問者
4
「アエ゛・マリア」、「肉塊」と傑作が続く谷崎潤一郎全集。「無明と愛染」もなかなか。2019/07/29
MatsumotoShuji
0
異国情緒漂う町で「私」が女性の美を賞玩する「アヴェ・マリア」。てっきり「私」は七十歳くらいの老人かと思ったら、この時谷崎はまだ三十代。 谷崎が、映画という最高のおもちゃを手にしてはしゃぐ「肉塊」。小説としてはでたらめだけど、はしゃぎっぷりが可愛い。 あとは戯曲で「無明と愛染」「腕角力」、映画のシナリオ「蛇性の婬」などなど。 しかし「蛇性の婬」って、すごいタイトルだよね。一読すると、だらだらしたシナリオ。でも、ポルノにしたら案外面白いかもしれない。2017/05/17