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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masabi
12
【概要】谷崎潤一郎全集第一巻。【感想】「麒麟」霊公が一度孔子の教えに感化されてもなお、南子の色香にたぶらされ自身の破滅を予期しながらも抗えない様が良かった。「少年」嗜虐趣味と被虐趣味、主従の入れ替わり、夜間の館の不気味さと人間燭台のホラーが相俟って独特な雰囲気がある。「秘密」秘密のベールに包まれることで一層魅力的になる一方で、そのベールを剥がそうとの欲求に駆られる。ベールの奥にあるものは神秘との落差でみすぼらしいものになる。女が男の秘密を暴き逢瀬が始まり、男が女の秘密を解き明かすことで関係が終わる。 2020/09/24
訪問者
5
さあ、いよいよ谷崎潤一郎全集である。と言っても本巻は再読であるが。何度読んでも「刺青」、「少年」、「秘密」は傑作。初読の時と同じく「Dream Tales」の「あなたが其の手で終始触ってさえ居てくれれば、私はこのまま生きて居られる。其の手の味はひより外に、私の生を充実させるものはないのだから。」に谷崎の真実を読む。2019/07/16
Islay
5
未だ青年期と表しても差し支えない年齢で書かれた作品群に対して、あるいは適切な言葉ではないのかも知れないけれど、その芳醇な言葉たちの、むせかえるような爛熟ぶりにくらくらしてしまう。もしや、この大作家に触れた誰をもが知っていたことなのかも知れないけれど、ここまで突き抜けた「ド変態」だったとは…。しかも、それをけれんとも醜悪とも見せず、美学とまで昇華させて読ませるとは。以降も刊行中の全集を通じて、めくるめくラビリンスに翻弄されてみようと思ふ。2015/12/04
ぐだぐだ
3
行間から漂う、ぬらぬらとした艶めかしさ。秘密、少年、悪魔が好き。2017/05/21
訪問者
1
「刺青」「少年」「秘密」といったあたりは初期谷崎の傑作。初読の「Dream Tales」の一文「あなたが其の手で終始触つてさえ居てくれれば、私はこのまま生きて居られる。其の手の味はひより外に、私の生を充実させるものはないのだから。」はまさに谷崎潤一郎。2016/04/06